Vol.385 役職のパワー<納得のパワー

「社内で誰かの意見に対して、部長の自分が”そんなのあかんやろ”と意見を言うと
すぐに”わかりました”となる。この3日間は自分が意見しても異論があるときは
当たり前のように異論が出る。そのため、全員が最後まで気持ちよく議論できた。
職場に帰っても、そういう環境を作らないといけない。そう痛感しました。」

昨日終了した12月の柴田塾に参加した58歳の男性管理職のコメントです。

そもそも「柴田塾」は、私がマーサーの社長時代に複数の日本の大企業から
“40代のCEOをつくる”というリクエストを頂戴し企画したものです。
当時は30代後半から40代の第一選抜者たちが受講していました。
卒塾生たちはいろいろなフィールドで活躍してくれています。
某企業に至ってはそのときの受講生たちが、現在、社長以下のほとんどの幹部を占めており、
それなりの役割を果たしたなぁ・・・と感慨があります。

Indigo Blue版になってからは、敢えて参加者を20代から50・60代、現役のリーダー、
リーダー候補者を混ぜて行うようにしました。もちろん、男性女性混合です。
・・・というのも、その方がリアリティがあるからです。

年齢、役割という点からすると、職場に戻ると現実のチーム運営がそういう環境下のはずです。
同じような年齢、役職だけでチームを組むことの方が少ないと思います。

更には年齢、役割が異なると見えている風景が違います。その風景を共有し合った方が
お互いに気づきがあり、かつアウトプットが深いものになります。だから、そういう年齢構成を
意識して参加者を決めているのです。

ところが、現実の職場ではそういう年齢・役割構成になっていたとしても、深いアウトプットが
出にくいものです。結局は上の意見が全て、みたいな展開なところが多い。
若い人、役職の下のヒトにしてみると、”どうせ、意見を言っても上が押し切る”ことが
見えているので、異論があっても意見しなくなります。

そこにいる全員が、これだととってもつまらない。仕事にココロが入りません。上司だって、
メンバーたちの主体性の無さにイライラします。
下はというと、白けている、という良くない状況です。

柴田塾のグループワークでは、年齢や役職に関係なく平等に議論することになります。
もちろん、年長者に対するリスペクトはあります。しかしながら、盲目的に誰かの意見に従う
ということはありません。そこで効いてくるのは、役職のパワーではなく、
いかにメンバーが納得するか、です。

こういう環境を職場でもつくりたいですね。

そのための鍵は「リーダーを誰が選ぶか」だと思います。

リーダーとメンバーとの間に信頼関係があれば、下のヒトも自分の意見を呑みこむことは
なくなります。
“あのヒトに言ってもどうせ・・・”ということはありません。思い切り議論はする。
但し、最終的に決めるのはリーダーだ、という共通認識があります。

ところが残念ながら、様々な要因から”あのヒトに言ってもどうせ・・・”
という状態にあるチームが多いのが現実です。これをなんとしたいですね。

会社の人事には”上司は選べない”という常識があります。これを覆せばいいのです。
自分たちが納得するリーダーの下で動くという環境をつくればいいんです。

そのための提案です。リーダーを互選しませんか?

あるミッションがある。そのミッションを達成するために集まったメンバーが話し合って
「リーダー」を決め、選ばれたヒトがその後のリーダーシップを担う、というものです。
もし、そのリーダーがリーダーとして頼りない、任に堪えないという場合には、
またみなで話してリーダーを再選する。
その調整、事務局を人事部が執り行う。そういう提案です。

もっとも、現在のライン業務をすぐにそうしてしまうと社内が混乱すること間違いないので、
まずはプロジェクトチームからそうしてはいかがでしょうか?

通常の人事は上から決めていきます。ここではその逆です。職種ごとに希望者を募り、
その中で役職の立候補者を募り、全員の投票で決める。
決まったリーダーには相応の権限を与え、その他のヒトたちは最終的には
そのリーダーの意見を尊重する。そういうスタイルにできませんかね?

そういえば、数年前に某企業の取締役会の改革のご支援をした際に、
その会社では社長を役員全員による互選にしていました。
そういう実例もあるので、できないことはない、と思います。
やってみようという会社経営者の方へ。応援致します。

======================================

おまけー1:ちなみに女性が多い職場ではそこまでしなくてもいけます。
なにしろ、私の経験では女性の方が「役職<納得」に沿って動いているヒトが
多いように思います。部長だろうが、社長だろうが、スバスバ言いたいことを
ぶつけている女性課長を良く目にします。やっぱり、女性はスゴイ。

おまけー2:最近、「政治家の殺し方(中田宏著)」「木村正彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
増田俊也著)」という「殺」系の本を読みました。いずれも、おもしろかった。


関連記事


TOP
TOP