826号「悪い”ネガティブ・レバレッジ”にならないように」(メールマガジン「人事の目」より)

ポジティブ・レバレッジ(Positive leverage)とネガティブ・レバレッジ(Negative leverage)。事業計画を精査するときの重要な視点の一つです。外資系でマネジメント経験がある方は聞いたことがあると思います。

ポジティブ・レバレッジとは費用の伸びよりも売上の伸びの方が大きい計画のこと。ネガティブ・レバレッジはその逆。費用の伸びの方が大きい計画のことです。事業の立ち上げ期はネガティブ・レバレッジになりがちです。一方で成長期にはポジティブ・レバレッジが期待できます。

多くの企業では「既存事業」と「新規事業」の組み合わせで事業を構成しています。既存事業しかやっていませんと、将来への備えがありません。リスクが高い、俗に言う“一本足経営”となります。一方で新規事業の割合が多くなりすぎますと、全体として過大なネガティブ・レバレッジとなり、赤字計画になってしまいます。上場している企業においては、常にポジティブ・レバレッジ、またはイコール・レバレッジ(売上と費用の伸びが同じ)が期待されていますので、舵取りが難しいです。

数字しか見ないアホなCFOがいると大変です。すべての事業について常にポジティブ・レバレッジを要求します。事業側で無理をして計画し、なんとか達成したとしても、後がありません。いったん逆風になるとブレーキが効きません。坂道を転げ落ちるように業績が悪化していきます。かつてのアメリカ企業ではこういうCFOが多かったように感じています。ただ、こういう人たちは短い期間で転身していくので、本人的には明日のことなど「どうでもよかった」のでしょう。4半期決算の弊害です。

2021年度の事業計画は難しいですね。2020年度は多くの企業が減収減益となる見込みです。赤字に転落した企業も少なくありません。売上が落ち込み、費用は変わらず。収益の柱である既存事業もネガティブ・レバレッジとなったためです。この状態が続くと会社としては存続の危機です。

さて、コロナ禍2年目の2021年度をどうするか。一番よくないのは固定費を下げることだけしてなんとかポジティブ・レバレッジの計画をつくるというやつです。見た目の数字は改善しますが、実態としては自らを弱体化させているだけです。これは“悪いネガティブ・レバレッジ”です。私はこんな時期だからこそ、“良いネガティブ・レバレッジ”の計画をつくるべきだと思っています。

減収基調の中で何に投資(費用をかける)か。ここが最大の論点となります。新規事業ばかりに目を向ける必要はありません。“延命措置”と言われたとしてもキャッシュフローのためには既存事業のテコ入れに使うこともあるでしょう。テコ入れのつもりが新規事業に化けることもあります。新規事業があと一息で立ち上がるとしたら、そこに投資することももちろんありです。ただ、“クライマーズハイ”になっていないか(冷静な判断が出来ない状態)のチェックは必要です。

ただし、どのような状況であっても、人と人をつなげることへの投資は意識的に維持すべしと思います。“企業は人なり”。ヒトとヒトがつながる機会を意図的に設定しましょう。テレワークが標準化すればするほど、この機会づくりを意識的にやりませんと、組織の基盤が薄くなります。そうなると、ポジティブでもネガティブでもレバレッジそのものが効かなくなります。


おまけ―1:4メートルの生きたダイオウイカが捕獲というニュースを見て熱が出そうに。その昔、ニュージーランド沖の“ニューネッシー”騒動ときには、高校休みました。

おまけー2:どら焼きでジャムが入っているものは「パンケーキ」だと思います。

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