Vol.729「社員の副業を嫌がる上司」(メールマガジン「人事の目」より) 

「何!また、退職者? 残業は減らしたのか? 副業は?…打つ手なし!」
役所広司さん扮する社長が幹部会議で問いかけるCMです。
最近タクシーでよく見かけます。

社員の副業。

“社員なんだから自社の仕事に専念すべきは古い。経営者たるもの、社員の意思を尊重すべし”

このプレッシャーから、嫌々、社員の副業を認めている経営者の方も少なくないと思います。
嫌々はよくありません。感情的におもしろくないので、副業をしている社員についネガティブに
接しがちです。当然ながら、その社員は働きにくくなり辞めていきます。そうなると、
結局、副業ダメじゃんとなってしまいます。

感情的にはよくわかります。(私も通った道なので。)ただ、冷静に考えてみてください。
自社の仕事に専念しているがパフォーマンスが低調な人と、副業をしているがパフォーマンスが
良い人、どっちがいいですか?後者の方が会社には貢献していますよね。

“本当は副業を認めたくない。自社の仕事に専念してほしい”。この根底にあるのは、
高いパフォーマンスを上げてほしいではないと思います。

“近くにいて、いつでも言うことを聞いてほしい(部下は私のモノ)”という
意識ではないでしょうか。

この意識で仕事をしている経営者や管理職の下では、部下がこんな不満をもっています。

・アウトプットイメージを明確に伝えてくれないので、何度もやり直しになる
・部下のスケジュールを把握していない指示がくる
・さしあたってやることがなく手待ち状態になることがある
・定時に帰りにくい雰囲気がある
・当日にその日の夜の会食への同行指示がある 等

これらは「上」がチームの仕事のマネジメントをせず、思いつきやその場で指示しているから
起こる現象です。

チームの仕事をマネジメントするとは、チームの課題を整理し、メンバーがいつまでに
何をすべきかを明らかにすることです。これは結構たいへんです。たいへんですが、
これを「上」がやってくれませんと、部下は困ります。常に指示を仰がないといけない
状況になります。

育児や介護で時短の社員にとっては「近くにいて、いつでも言うことを聞いてほしい」
マインドの「上」の下では仕事ができません。そのリクエストには応えられないからです。
この環境ではヒトも育ちません。当事者意識が旺盛な社員ほど自分の時間を無駄にしたく
ないので去っていきます。

「上」がチームの仕事をマネジメントしていれば、メンバー全員が何をすべきかわかります。
そうなると、生産性が高く、向上心が強い社員ほど、他のこともやりたくなります。
これはいいことです。“経験に勝る学びなし”なので、様々な仕事を遂行することで視野が
広くなり、スキルも向上します。人脈も充実します。

秘密保持の観点から副業はNGともっともらしいことを言う方がいますが、それはナンセンスです。
それを言い出したら、社外に一切出てはいけない、家にも帰るな、ということになってしまいます。

副業、いいですよね?

おまけ-1:毎年、インフルエンザの猛威が激しくなっていますよね。インフルに感染したが、
ワクチン注射のおかげで症状が軽い人が菌をまき散らしているせいではないかと、
ひそかに思っています。

おまけー2:インフル予防でマスクに加え、目のつぼ押し用のマスクをかけて「完全予防」
とした写真をFacebookに上げたところ、思いがけず好評。

花粉症の前には更に強力な防御を公開予定です。

おまけー3:日経産業新聞のコラムです。“重役にしてはいけない人” (1/21付けです)

日経産業新聞コラム

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