Vol.748「顧客の熱を冷ますもの」(メールマガジン「人事の目」より)

顧客の熱を冷ますもの。それは「社内規則という名の印籠」です。

先日こんな体験をしました。ジムのプライベートレッスンの予約が17時半。どう急いでも
10分は遅れそうです。電車で移動中だったので秘書にメールしました。10分ほど遅れそう
だが受け付けてもらえるか聞いてほしい。秘書からの返信にこう書いてありました。
「10分を超えたらキャンセル扱いになるそうです。」

最寄り駅からタクシーに乗りました。ものの5分のはずが、道が混んでいます。12分程度
遅れそうな気配です。電話をいれてみました。「さきほど、秘書から電話をいれた柴田です。
すみません、10分ちょっと過ぎてしまうかもしれません。ダメですかねー?」
「すみませんが、10分を超えますと規則でキャンセル扱いになります。」

12年前のことです。某駅で深夜の終バスを待っていたときのことです。私を含め10名ほどが
バス亭に並んでいました。目の前にバスは停まっています。ところが、乗せてくれる気配
がありません。その日は北風が強くとても寒い日でした。並んでいる人たちの声なき声を感じ、
車中でぬくぬくとしていた運転手に声をかけました。「並んでいるので乗せてもらえませんか?」
「あー、規則でまだ乗せられないんですよ。」

規則があると判断に迷うことはありません。規則に従って動いていれば間違いはないでしょう。
規則は大事です。規則があるから社員が守られ、最終的には顧客が守られることになります。
その理屈は誰もがわかっています。ただ、でもう少し“考えて”もらえないものだろうか、
と思います。

なぜダメなのか。よく言われるのが、例外をつくるとそれが前例となり、秩序が崩れるからだと。
確かに顧客の中には、あの時はやってくれたとして、常に例外対応を要求してくる人もいる
でしょう。あの人には対応しているが、なぜ自分には対応してくれないのか不公平だと
新たなクレームを呼ぶ可能性もあります。だから、いかなる場合も規則を守るべきだ。
これが規則厳守派の考えだと思います。

私は違う考えです。先のバスの運転手には「今日は寒いので特別に開けますね。」と
対応してもらいたかった。それが感動を呼び、ファンをつくることになると思います。

この“今日は特別”ということを受け入れない悪い顧客がいることは百も承知です。
しかし、そうでない顧客もいます。むしろ、そうでない顧客の方が潜在的には多いと思います。
その“特別”に感動しファンとなった顧客はその話を周囲にするでしょう。それが新たな
ファンをつくることになります。悪い顧客対応を優先して、一般の顧客をファンにする
機会を放棄するのはいかがなものでしょうか。

総合的に考えて、それでもダメというならそれでもいいと思います。“考えた”結果だからです。
こうした問いには絶対解はありません。顧客よりの判断をすることが常に正解ということでも
ありません。考えずに“規則だからダメ”という脊髄反射がいけません。規則は人から
“考える”ことを奪います。

先のジム。「全力で10分お待ちします!頑張ってください!」と言ってくれたら、だいぶ違う
印象を持ったはずです。実際には「行かなかった」のですが、仮に行ったとしても
「いやー、柴田さん、すみません。全力でお待ちしていたのですが、次のレッスンのお客様が
来てしまいまして・・・」と言われたら、「ごめん。迷惑かけたね。」と納得して帰ったこと
と思います。今回は「規則」という印籠を出されたので、気持ちが萎えました。
(顧客はみんなそんなもんだと思います。)


おまけー1:毎週月曜日の23時30分からのBSフジ「中川家&コント」が面白いです。
http://www.bsfuji.tv/nakagawaketokonnto/


おまけー2:とある焼き肉屋。「ランチ特別メニュー限定5食!2,980円お得ですよ!」
「えっと、どんな内容?」「とにかく、お得、A5ランクのお肉が、あ、限定4,3食!」
「写真とかないの?」「えーとですね・・・あ、あと2食、1食、どうします!?あと1食ですよ!」
(テレビ通販の手法だ・・・)

おまけー3:4月中旬に家の近くの池におたまじゃくしがたくさんいました。
もう蛙になっただろうと見に行ったのですが一匹もおらず。みんな跳ねていったか。

 

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