Vol.601 不正行為の組織的隠ぺい

今日のテーマは「不正行為の組織的隠ぺい」です。

三菱自動車で「燃焼偽装」の報道がありました。

またしても「不正行為の組織的な隠ぺい」です。この手の問題はなくなりません。

記憶に新しいところでは「化血研」、「東芝」でも同様の問題がありました。

「組織的隠ぺい」、これは大組織に潜む爆弾です。トップからすると非常に怖い話です。

なにしろ、その爆弾が見えません。それでいて爆発すると自分の首が飛びます。

大きな志も夢もおしまいです。

不正行為の組織的隠ぺいが発覚するとトップの責任問題が問われます。最終責任者ですから、

これは当然です。但し、残念ながらトップを代えたところでどうにかなるものではありません。

しばらくして、また隠ぺいが発覚します。これはそんなに簡単な問題ではないと思います。

複雑です。ヒトの心の弱さに起因しますので。

一般的に、隠ぺい行為が起きるのは次の構造です。

主人公は“何かが明らかになると困る”誰かです。その“何か”が明らかになると、

自分の立場、地位、報酬、評価が崩れてしまう。それを恐れて、その“何か”を

隠ぺいするわけです。その不安、恐怖心から、物事の是非が見えなくなり、

隠すという行為に至るのです。

この行為に至る根源的原因は、自分に対する「実力以上の期待感へのプレッシャー」です。

たまたま、その期待に応えることができた。しかし、それが続くとは限らない。想定以上の

処遇(地位や報酬)を得てしまった。そこから転落するのが怖い。そうならないためには

何でもする・・・。この心象風景です。家庭でその処遇を当たり前とするプレッシャーがあると、

この行為に拍車がかかります。

もう一つあります。それは「対人的ストレス耐性の弱さ」です。仕事上のストレスには

「対人」と「対課題」があります。「対人ストレス」に弱い人は、感情的に怒られることを

極端に嫌います。そうならないためなら、嘘もつきます。嘘に嘘の上塗りもします。

“できないこと”であっても、怒られたくないので“できる”と言ってしまいます。

(ちなみに「対課題ストレス」に弱い人はその逆です。課題の量的負担が大きくなると

“できること”であっても“できない”と思えてしまいます。)

これらのマインドセットにある中間管理職がその心の弱さから「不正行為の隠ぺい」の

主人公になりがちです。

日本人はルールを守らない。外資系企業の外国人エクゼグティブによく言われます。

確かに、やってはいけないという通達があっても、ついやってしまう。そういう日本人が

散見されます。その逆もあります。やるべきことなのにやらない。日本人ほど上司の

指示命令を無視する国民はいないと言われます。

無知でルールを守らないのではありません。守るべきルールだとわかっています。

ところが実践しないときがある。しかも、それに対する罪悪感が希薄です。注意されると、

その場では深く反省します。しかし、同じことを繰り返しがちです。このメンタリティは謎です。

たばこのポイ捨て、自転車の信号無視はその身近な代表例です。

特定の宗教観をもつ日本人が少ないことも原因かもしれません。常に特定の神を意識していると、

神様が見ているという意識から変なことはできません。それがないから、やってしまうの

かもしれません。

“やってはいけない”というルーツが多すぎるのかもしれません。あれもダメ、これもダメ、

となりますとさすがに全部守っているわけにはいかない、となるのかもしれません。

罰則が緩いという説もあります。

理由はともかく、ルールを守らない部下がいて、それを改善しようと努力に努力を重ねても

一向に改善しない。そうなると先の転落への恐怖や、社内で糾弾されるのを恐れて

隠ぺいするという行為が起きてもおかしくはありません。

この状態にならないようにするためには、トップマネジメントチームが組織の感情に

敏感になること。そのための働きかけをすること。追い詰められている中間管理職が

いないかどうかを調べること。これらの活動を組織内に埋め込むこと。これしかありません。

これも組織開発という文脈の話です。組織開発への働きかけなしに不正の組織的隠ぺいを

減らすことはできません。

おまけー1:私も同じ過ちを繰り返すことがあり、身近な方々には迷惑をかけています。

ごめんなさい。しかも、悪気なくやっているので、ミスタービーンのようだ、と怒られます。

こればかりは自分を見つめる自分を意識し続けるしかないですね。

おまけー2:「アベンジャーズ」にアントマンが出ていると主張し続けている人がいます。

auさんの桃太郎シリーズのCMにこっそり一寸法師は出ていたようですが、アントマンいたかなー。

http://by-s.me/article/207304751259143499

おまけー3:知人の石橋真さんがいい本を出しました。

「困難を乗りこえる強い自分のつくり方」(アスカ出版)さらっと読めて心に刺さります。

関連記事

TOP
TOP