第48回日本救急医学会総会・学術集会(11月18日から20日@岐阜長谷川国際会議場、他)で特別講演をしてきました。テーマは「With/after coronaの組織・人事マネジメントのありかた」です。
旧知の岐阜大学医学部教授の小倉真治さんが日本救急医学会会長に就任され、ぜひ学会で話して欲しいと依頼を受けたことによります。
この学会のテーマは「Fight against time」。救急医療はまさに時間との闘いです。心停止1分ごとに10%救命率低下すると言います。ほんの数分の遅れが生死を左右します。ところが、日本においては救急時にも拘らず、「患者のたらいまわし」事例が事欠きません。小倉教授は、この状況を改善すべく、岐阜大学高次救命治療センターの責任者として様々な改善を実現しています。
例えば、
■救急医療情報共有支援システムの開発導入
・氏名、生年月日、性別、血液型、既往歴、投薬歴、アレルギーや感染症の有無などの救急医療の現場で必要な情報だけを登録したICカード(Medica)を岐阜県・愛知県の一部で配布、いざというときに意識のない患者の治療に必要なデータを医療側に伝える仕組みにより、治療開始までの時間を10分程度短縮
・医者たちがICタグつきのカードを身につけ、どこにいるかによって救急対応が可能かどうかを瞬時に見定める仕組みを構築
■ドクターカーの展開
・医療行為ができる救急医と看護士を患者のもとへ運ぶ救急車
・どこの病院に運ぶではなく、医者が出向くことにより、救急治療までの時間を大幅に削減
いずれも時間の削減が狙いです。それが生存率の向上に直結します。素晴らしいと思います。この仕組みが全国で標準化されないのか不思議でなりません。
「Fight against time」。これは救急医療の世界だけではありません。一般のビジネスの世界でもそうです。コロナ禍により“人が集まること”が前提ではなくなった今、オペレーション上のプロセスに見直せる余地が生まれていると思います。特に「情報共有」「意思決定」、これらのプロセスがターゲットになります。
時間をいかに有効に使うか。これはすべての人にとっての課題です。30歳ころに「知的生産性の向上」というテーマに関心をもち、日本LCAというコンサルティング会社が提唱していたDIPSなるものの勉強会に何度か参加しました。“がんばるタイム”という名の集中時間を自部署に導入してはどうか、と上司に提案したことを思い出します。いかに自分の時間の生産性を高めるか、当時はこれがテーマでした。
自分の時間の生産性を高めることは大事です。が、いまは少し異なる見方をしています。自分の時間を中心に考え過ぎてはいけないと思っています。これは周囲の人の時間を奪うことになりかねません。自分が集中できるのは他の人たちが自分のために雑多なことを引き受けてくれているからです。このことを忘れてはならないと思います。
また、「Work」と「Life」を分けて考えるのも無理があると気づきました。これらを別項目として捉えているからコンフリクトが生じるのです。バランスではなく、インテグレーション(融合)ですね。
おまけー1:ちょっと早起きして6時前後に空を見てみてください。朝焼けがきれいですよ。
おまけー2:“コロナビールが売ってないから、チョココロネを食う。”意味がわからないことを言う人がいました。
おまけー3:知り合いの一流マジシャンに某レストランの責任者として登場してもらい、参加者との名刺交換からマジックショーに転換するという演出をしてみました。サプライズが2倍。なかなかです。
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