外野を5人で守ってはいけません。
3人が適当な数のところを、5人で守っているとロクなことがありません。
“誰かが取りに行くだろう”という緩みが生まれます。結果としてポテンヒットが続出します。
この状態が長く続くと、ボールが飛んできたときに”サッと”動けなくなります。
“誰が取りに行く?”というお見合いが入ってから動くことに慣れてしまうからです。
これだと、早いボールが飛んできたときには間に合いません。
更にはグラウンドにいるにも関わらず、常に外野席にいる御仁も出てきます。
しかも、その御仁がうんちくを垂れたり、批判はするものの自分では取りに行かない
となると最悪。単に邪魔です。
幹部会議の人数が多いと、どうしてもこの現象がうまれがちです。
これでは組織の動きが遅くなります。
一方で、情報共有やコンセンサス形成の「場」はそれなりの人数でやるべきです。
関係者全員が同じ時間に同じ場所で同じ空気を感じながらやるのが一番。
この典型的な例が「合宿」です。これは数十人~数百人でも大丈夫です。
(私の経験上、250名という合宿がありました。)
しかし、経営の舵取りをする会議はそれではいけません。最少人数でやることをおススメします。
最少人数で頻度を高めて行う。極端な話、毎日でもいいと思います。
これは顔を合わせなくても大丈夫、電話会議、TV会議でOKです。
但し、その会議には、全員が”社長”の目線をもって参加しなければなりません。
誰かの話を承るのではなく、全社的課題を全社目線で捉え、全社的な方策を考え、
議論するという「場」ですから。
これを実現し、うまく回すために、商法上の社長が気にすべきことは
“アジェンダの設定とスポンサーシップ”です。
アジェンダの設定とは、”今対処すべき経営課題”を常にアップデートして参加メンバーに
提示することです。課題の中には緊急課題もあるでしょうし、中期的な事柄もあります。
しかし、いずれも重要課題。”こうしたい””こうありたい”という自分の想いと共に
参加メンバーと共有するのです。
議論が具体化すればするほど、”どうやるか”について詳細化します。
そこで商法上の社長がすべきことは、細部について指示をするのではく、
責任者を決めることです。その上で、その責任者が最適な環境で仕事ができるようにすること、
すなわちスポンサーシップを発揮することです。
自分の専門性やマネジメント力を発揮するのが一番いいと判断される(周囲もそう思う)
場合には自ら責任者となって実行にあたりましょう。しかし、
それはあくまでも特別な課題であるべきです。
社長には社長の役割がありますので。
万が一、自分が責任者になって個別具体的な課題に取り組むことを優先したい、
或いはそうすべきと判断される場合には、誰かに「社長」という役割をお願いしましょう。
(マイクロソフトや、グーグルでそういう事例がありますね。)
さて、今までそういう運営をしていないところから、いきなり経営幹部全員に
「全社観」を持てと言ってもなかなか難しいものです。
現実的にはそういう目を持った幹部を育てるところからやらなければならないでしょう。
今の経営幹部の責任範囲を見てみてください。もし、その人の専門性と同じである場合には、
敢えて別の専門分野を担当してもらいましょう。
営業畑で育ってきた幹部に全体観を持ってもらうためには、営業以外の畑、
例えば人事であるとか、マーケティングを担当してもらいましょう。
そこからです。
かつてグローバル企業の経営幹部育成プログラムの研究をしたことがあります。
多くの優良な企業に共通していたのが、この方法です。
特定の専門分野で一定の成果を挙げているヒトに敢えて、その人の専門性が
効かないところに配置して、そこで成果を挙げられるかどうかを見る。
その上で、候補者とするかどうかを判断するというものです。
この手のことは思いつきで実行して長続きするものではありません。
全体観をもった人材が生まれるような土壌、プログラムを埋め込んでいく必要があります。
これは小さい組織、オーナー企業こそ、きちんと考えておくべきテーマです。
さもないと、いつまでも属人的な組織のままで成長がおぼつきません。
これも重要なアジェンダであるべきです。
コンサルタントの目線では気づきませんでしたが、「社長」という仕事をいろいろ経験して、
幹部会議のあり方、運営の仕方が組織の実行力を相当左右することに気づきました。
ここを変えると会社が変わります。(変えないと変わらない、とも言えます。)
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おまけー1:会議体を変えたことが再建につながったのがキャドセンター。
キャドセンターといえば飯田橋(今は移転したようですが)。
で、その飯田橋に”いかセンター”なる場所があると聞きました。
http://r.gnavi.co.jp/a640606/ ちょっと、行ってみたい。
おまけー2:目黒に「大人の音楽教室」という看板あり。”うむむ、これは・・・”と思っていたら、
近くに”ヤマハ“という看板を発見。急に健全なイメージ。これぞ、ブランドの力。
おまけー3:知人の村上佳代さんが「マンガでわかるWebマーケティング」なる本を出版、
献本いただきました。
とても読みやすい。”バリスタのA君、読みたまえ”
http://www.tsutaya.co.jp/works/40999140.html