Vol.417 建設的妥協

先週月曜の原発反対のデモはすごい規模でした。

主催者発表17万人、警備発表7万人。数字に違いはあるものの、
近年にない規模であったことは間違いありません。
私の知人も何名か参加していたようです。

昨日もどこかでデモが行われていた模様。この感じ、まだまだ
各地で続きそうです。(鳩山元首相がデモに参加したという話には
苦笑しましたが)

現在の生活レベルを維持したい、原発はゼロにしたい・・・

これは普通に考えると無理です。
となると、いかに「建設的な妥協」を見出していくべきか、
議論はここに集約されると思います。

その場合の論点は何か。

時間軸(時間をかけて”あるべき姿”にしていくか)にするか、
生活レベル(節電を標準化することで何かをあきらめる)にするか、
原発設置のリスクにするのか・・・、

これらをデーブルの上に載せ、落としどころを探る。
そういう大局的なファシリテーションが必要だと思うのです。
これを進めるのが、本当の”政治”だと思います。

意思決定や判断は、関係者の利害調整なしには実現しません。

そもそも、利害関係者の利害は各々異なるもの。ときにトレードオフ
であったりします。そこに絶対的な意見というのはないはずです。

一方にとってベストな決着を指向すると、一方で全く意思を汲んで
もらえなかった集団が出ます。それを無視して強引に進めると、
その集団の感情が禍根となり、決めたはずのことが頓挫しがちです。
人間の集団である以上、感情を無視できません。

多数決は民主主義の基本ルールでしょうが、数の論理だけの話ではないですね。

マジョリティはマイノリティの考えに耳を傾けるべきだし、
マイノリティはマジョリティを尊重すべきです。
なにしろ、多数の支持を得ているということはそこに多くのヒト達の
納得感があるはずですから。

これが建設的妥協のための基本姿勢であり、様々な集団のリーダーに必要な姿勢です。

その上で、それぞれの主張者たちが自分の見解を冷静に見つめ、どの点が譲れて、
どの点が譲れないかをつまびらかにする。譲れない点であっても、
何等かの対応で「それならいいか」と代替できないか。
こういう整理を自分の主張と相手の主張のそれぞれで進めていく。
これが建設的な妥協に向けた第一歩になります。

この整理をする際に気を付けるべきは、またしても「感情」です。
あのヒトは信頼できない、嫌いという感情があると冷静に主張を
分析することができません。まるっとダメ、何を言ってもダメになってしまい、
前に進まなくなります。

原発の問題で冷静な議論をしにくいのは、データのねつ造とか、
活断層情報をネグっていたとか、そもそもの議論をひっくり返すようなことが後出しで
出てくることですね。これだとやってられないので、強行突破やなし崩しといった
展開になりがちです。まさにまるっとダメ系。

しかし、だからと言って建設的な妥協案を探さないというのも、未来がないので、
そこは過去の不誠実な対応はある意味で横において(別の局面で追求させてもらうことにして)、
大局的な議論をきちんとする場を求めたいですね。

消費税は上げたくない、社会保障の負担問題は解決したい。これも同じです。
沖縄の基地問題もそう。TPPもそう。「建設的な妥協」を探さないことには前に進みません。

NHKのデジタル放送でスタジオと視聴者の投票を求めながら、
この手の討論番組を企画してもらいたいものです。時間帯を変えて、
小学生向け、中高生向け、大学生向け、社会人向け、主婦向け、経営層向け等、
対象に合せて番組構成を変えてやってほしいものです。
これだけ国民の関心が高いのですから。

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おまけー1:大津のいじめの問題について先Facebookに以下の投稿をしました。
http://www.facebook.com/#!/ShibataReiji

「喧嘩」は利害の対立。「いじめ」は異質なるものの排斥。しかし、そこに確固たる
イデオロギーがあるわけではない。「個」の主体性がいかに弱くなっているかを感じます。
クラスの人数を減らす、クラスの流動化、ディベートなど、クラスという中の「組織感情」が
よどまないような刺激と仕掛けが必要。

おまけー2:今週末は3日間の柴田塾@大阪。2日目は「建設的妥協」を探るための
体験型ケーススタディ。今回も7時間の長丁場。

終了時にみなさんの顔つきが変わっていたのが印象的でした。
それにしても会場のITOKIさんの会議室はとても快適。仕事をするに最高の環境です。

おまけー3:人気の基礎講座のお知らせ。早いもの勝ちです。

「数字でビジネスを語るのがどうも苦手」
「”事業計画”って、どうやってつくるの?」

今さら人には聞けないけれど、機会があったら勉強したい!挑戦したい!!
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