Sustainable growth(持続的成長)。
立ち上げ期を過ぎた企業・団体の経営者が最も気にすべきことだと思います。
米系コンサルティング会社の社長時代、毎年毎年Positive leverage(経費の伸び
よりも売上の伸びを大きくするプラン)を要求してくる本社”官僚”に対して、
「今日と明日のバランス」を欠いた計画だと、Sustainability(持続可能性性)が
失われることがわからんのか!と啖呵を切ったことを思い出します。
明日に向けた種まきや備えを忘れてはいけません。目の前の課題に全てのリソース
(資源)とエネルギーを注ぎ込んでいると、今日の対処はできるかもしれませんが、
明日が危うくなります。業績の変動幅が大きくなり、好調不調を繰り返しながら
次第に成長力が弱っていきます。こうなると、”神風”でも吹かない限り、大きく
立ち直ることはありません。
例外もあります。短期的なリターン狙いの株主の支配下にある場合、
「短期的な企業価値の向上」が「持続的成長」よりも優先されます。
こればかりは仕方ありません。そもそも、短期的なリターン狙いの株主が御社の
大株主になっているとしたら、おそらく、株価純資産倍率(PBR)が1.0を下回って
いたり、資金繰りに失敗していたり、良い技術がありながら破綻していたり・・・。
彼らに”つけ込む”隙を与えていたにちがいありません。
しかし、短期的なリターン狙いの株主は初期の目的が達成できたら別のターゲットに
移っていきます。暫くの辛抱です。企業の長い歴史の中ではほんのひとコマのはずです。
それに悪いことばかりではないはずです。短期的なリターン狙いの場合、過去の
しがらみやら負の遺産を一気に整理していることもよくありますので。
(私自身、この役割もやったことがありますのでよくわかります。)
平時の場合は、やはり「持続的成長」を基本方針にすべきだと思います。その原動力は
何と言っても「人材育成」です。人材育成を怠っていると明日が危うくなります。
然るに日本の多くの企業・団体の人事制度は大いに問題ありだと思っています。
日本の人事制度の多くは「管理職」をつくる制度です。管理職にスポットライトが
あたる仕組みです。なにしろ管理職にならないと社内的なステイタスや報酬が高く
なりません。研修も「管理職育成」系がメインです。
「管理職」でないとすると「専門職」。しかし、「専門職」という言葉にはずいぶんと
“変な手垢”がついてしまいました。管理職としてはNGのヒトを処遇職する印象で、
なりたい職位ではありません。
そもそも「管理職」「専門職」という区分が適切ではないのです。
「個人として貢献する役割」か「他者を束ねて動かす役割」という区分ではない
でしょうか。自分でやるか、他の人たちにやってもらうか、この違いです。
人数ボリュームとしては「個人として貢献」をするヒトの方が多いので、
(ロジカルに考えると)多くの「個」の貢献力を高めることが、人事制度上の最重要
課題になるはずです。ところが、日本の人事制度は「他者を束ねて動かす」
ヒトづくりが基本思想になっています。
個として優れているヒト、つまり仕事がデキるヒトはなんらかの専門性が高いから
「デキる」わけです。そのデキる個に「他者を束ねて動かす」役割を期待すればするほど、
そのヒトが個人として貢献する場面がなくなっていきます。それで良いのでしょうか?
もちろん仕事は「個」だけで完結しません。周囲を巻き込む力があってこそ。
「個」として優れているヒトは「他者を束ねて動かす」力も持ち合わせているものです。
だから、管理職としてもそれなりに活躍できるわけです。
しかし、これは課長クラスまでのこと。自分の専門領域内での「他者を束ねて動かす」
力と、自分の専門外の領域(自分ではよくわからないこと)も含めて「他者を束ねて
動かす」のは別ものです。
この”別もの”は特別に育成すべきです。それはそれでやりましょう。
これが「次世代リーダー育成」です。
メインはちがいます。メインは「個」としての貢献力を高めるための仕組みであり、
報酬であり、そのための育成計画です。
管理職をどんどんつくることが必要だった高度経済成長期に出来上がったのが
今の人事制度の基本思想です。その後、景気が落ち込み人件費を削減する必要性や
若くて優秀な人間の引き留め目的から職務給的発想が組み込まれ現在に至ります。
これからグローバルにビジネスを展開していくことを考えますと、強い「個」を
育てなければなりません。そのために人事制度の基本思想を変えましょう。「
次世代リーダー」はもちろん、特別なやり方で育成しますが、多くの人には自分が
得意とする分野で最大限の力を発揮してもらうような仕組みにしましょう。
「管理職が嫌だから転職したのに、また管理職になった・・・」。
某企業の事業責任者のぼやき。この方の専門性をもっともっと発揮させた方が、
確かに会社としては良い選択だと思います。
おまけー1:強風の日に”ひらひら”したスカートをはく女子がいて、
その女子の後ろ5メートルの位置をキープしながら階段を上る秋葉系の男子数名と
秋葉系の20年後のおっさんあり。
“いつの時代もこれだなー”と眺めていたところ、「あ、柴田さん(もですか?)」と
そのおっさんが振り返り、なんだか大アセリ。
おまけー2:”Working in South East Asia”なる企画のトライアルを
5月21日の夜にやります。
部屋に入るとそこには東南アジア人がわんさか・・・
彼ら彼女らと一緒に英語のワークショップを体験、
というものです。詳細は追ってIndigo Blueのサイトに掲示しますが、一人20,000円
6名限定でやります。ご興味ある方はこのメルマガへの返信でお知らせください。
優先的にご案内します。