後継者育成。なんども書いてますが、現職幹部の責任課題です。主体は人事ではありません。
現職者です。
社長をはじめとする経営幹部はこうやります。そのポジションに求められる人材像をベースに
育成計画を立て実行していく。これが王道です。主たる方法は「配置」です。誰がやっても
難しい役割に配置して、総合的にストレッチしたり、当人の専門性とは異なる領域の責任者に
配置して、自分が動くのではなく組織を動かすことを学んでもらったり、どんなに小さくても
いいので子会社の社長を経験させて経営者の視点を育んだり・・・、こうした目論見をもって
戦略的に配置します。その上で当該候補者たちの進捗を定期的に経営幹部からなる
人材育成会議で確認していきます。
この運営を担保するために、候補者の人事権はこの人材育成会議に置きます。直接の上司は
当該人物の異動を打診されたら(時期の変更権はありますが)拒否はできないルールにします。
一方で部長、課長クラスの後継者育成は少し異なるやり方をします。ここでは現職者が
“見どころのある人材を鍛える“です。そのやり方は千差万別で構いません。直属の部下
でなくても構いません。むしろ、直属でない方がやりやすいかもしれせん。
特定の仕事のやり方を鍛えるのではありません。一人の社会人としての生き方、課題への
立ち向かい方、自分の社内外ネットワーキングの仕方、そして「心のもちよう」のあり方を
鍛えるのです。鍛えるといっても、実際にやることは自分が意識していることを伝える、
それだけです。
まずはなんといっても、“後継者候補(見どころのある人材)”が誰であるかを自ら確認する。
ここからです。その名前を書きだしてみます。3人くらい書きだしましょう。その上で、
何故その3人を“見どころがある”と感じているのか、その理由を書いてみます。
自分の直感の言語化です。
次にその3人と1対1で話す機会を設けてみます。その人物は自分がイメージ通りか、
良い意味でも悪い意味でも変わっていないか。これを確認します。当然ながら、
“あなたを自分の後継者として・・”的なことは一切話しません。雑談でよいのです。
または何らかの仕事に関わる話をします。要は自然に話す。これが大事です。
そのプロセスを通じて、自分の想いをアップデートします。
その人物が思った通りであったなら、自分がやっている姿を近くで見せましょう。
解説は要りません。その場を共有する。それだけでいいのです。見せた後で、
食事や飲み会でそれとなく感想を聞きます。これを意識的に続けていきましょう。
“鍛えられて”いくはずです。(見せても伝わらない相手は“後継者候補”ではないと
考えても良いでしょう。おそらく“感性”が違うのです。)
こうしたことをミドル層が自発的にやっている組織になると“リーダーシップパイプライン”
(リーダー人材が次々に排出される)が形成されます。人事が主導でやろうとすると頓挫します。
現職者が自分の意思で、自分のやり方でやる。これに勝る進め方はありません。
おまけー1:某ホテルの客室でルームサービスをオーダー。仕事しながら食べるので
特製チキンカレーとグリーンサラダ。ここのデリバリーが素晴らしく、ラップを外すなど
すぐに食べれるように整えてくれました。
「お待たせしました。どうぞお召し上がりください。」 なかなか爽やかな好青年です。
「ありがとう。」と私。好青年が続けます。
「他に何かお役に立てることはございますか?」
「この資金繰り表を半年延ばしてみて」(と言いかけて止めました。やってくれそうだったけど。)
おまけー2:大阪の某レストランにて。
「すみません。予約してないんですが、入れますか?」
「もちろんです。お席をご用意しますので、2時間ほどお待ちください。」
「は?」
おまけー3:働くパパとママを支えるWEBメディア「日経DUAL」のインタビュー記事の続きです。
https://dual.nikkei.com/atcl/column/19/072400007/091100002/?P=1
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