「組織知」の育成について考えてみました。
「組織知」と言えば、ナレッジマネジメントの第一人者の野中郁二郎先生が提唱されたSECIモデルを思い浮かべる方が多いと思います。個人が持つ経験や知恵(「暗黙知」)を共有する場をつくり、それを可視化し、さらにそれらの「暗黙知」を組み合わせて新たな知恵をつくり、それを個人が身体で覚えるような機会をつくる、というものです。
リモア(リモートアクセス)時代の今、組織知の育成を意図的に仕掛けた方が良いと思っています。オンライン環境での対話はどうしても合目的なやりとりが主体となります。生産性は向上するのですが、「暗黙知」の共有が進みやすい雑談時間が減ってしまいます。
この状態を長らく放置していくと、組織知の育成がおぼつかなくなります。結果として商品開発が進まなくなったり、同じミスが繰り返されたりすることになるでしょう。さらには組織としてのつながりも希薄となり、退職率も高まってしまうと思います。
対話の場をつくりましょう。2か月に1回。12名による3時間のセッションに全員が参加するようにします。リアルに集合せずにZoomやTeamsで構いません。ひと月を20日として、毎日開催すればひと月で480名参加できます。同時に複数稼働させればもっとたくさんできます。全社員が年間18時間、このセッションに割くだけです。セッションの組み合わせは敢えて多種多様にします。階層、職掌、勤務地バラバラにします。国外の勤務者、現地社員も入れてやりましょう。
3時間の設計も重要です。つまらない3時間になると続きません。以下のような構成にします。
・参加者個々による1分近況報告 (15分)
・ファシリテイターから議論のテーマを提示(5分)
・3人一組で4つのブレイクアウトルームで議論 (20分)
・その後、ブレイクアウトルームを2つに統合、それぞれ議論した内容を共有 (20分)
・その後、全体で議論した内容を共有(20分)
・休憩(10分)
・ファシリテイターによるとりまとめと新たなテーマの提示(5分)
・メンバーを変えて、4つのブレイクアウトルームで議論(20分)
・グループを2つに統合、それぞれの議論内容を共有(20分)
・その後、全体で議論した内容を共有(20分)
・2つのテーマの議論を通じての感想を一人1分で共有 (15分)
・ファシリテイターによる総まとめ(10分)
ファシリテイターは中間管理職クラスが交代で務めます。中間管理職のファシリテーションスキルの向上にもつながります。
しかしながら、テーマ設定やファシリテイターの力量がセッションの成否を決めることは間違いありません。このセッションを運営するためのトレーニングをやった方がいいでしょうね。必要あらばお知らせください。“柴田メソッド”を伝授する場を設けます。
組織知の形成に必要なインフラは“組織内の人たちがお互いがお互いのことをよく知っている状態”です。仕事を通じての対話はあっても、それ以上のやりとりはしたことがない人や、顔は知っているけれどちゃんと話したことがない人たちの集団では組織知の形成は絶対に進みません。次年度の計画に「対話の時間」をいれてみてはいかがでしょうか。
おまけー1:神谷町の某中華レストラン。注文しようと近くに立っている店員さんに声をかけたところ、首を振り無言でテーブルを指さしています。(呼び出しボタンを押せということか)で、ピンポン。すると、急に「はい、ご注文なんでしょう?」。(すいませーん、と声をかけるのはコロナで禁止らしい。)
おまけー2:品川駅の近くの道路工事で交通整理をしているおじさんのボールさばきがベテラン過ぎて、誰にもわからず、警官に注意されていました。
おまけー3:クリスマスギフトに純度100%のエッセンシャルオイルはいかがでしょうか。
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