「仕事をする前にやることがあるだろう?」
某企業の次世代人材候補のインタビューの中で聞きました。海外転勤した際にトルコ人の
上司から言われたそうです。仕事をする前にやることがある。そうです。私自身、過去に
何度か言われたことを鮮明に思い出しました。
仕事をするキャパシティを思い切りストレッチさせることは、自分の成長のために必要です。
むしろ、そういう時期がないと伸びません。簡単な仕事や力を余すような仕事を続けている
と、仕事の筋肉が退化して、どんなに優秀だった人材も“ただの人”になります。
誰がやっても難しい仕事、経験のない案件、質的に難しいもの・・・、
これらに立ち向かっているときには、土日なく24時間仕事漬けになります。コンサルティング
会社、ベンチャー企業はそういう環境でしょうし、大企業においても初めての大口取引、
M&A対応、不祥事対応などはそういう状況になります。こういう仕事に取り組むときには
時間を気にしていてはできません。
これを繰り返していくうちに、武道で言うところの“見切り”ができるようになり、
それほど多くの時間を投入しなくても対応できるようになるものです。
もちろん、一回や二回のストレッチでどうにかなるものではなく、この断続的な繰り返しが
追って効いてきます。
問題なのは、これを断続的ではなく、ずーっと続けてしまうことです。しかも家庭に一大事が
あってもお構いなく仕事を優先。そういう人たちに伝えたいのが今日のメッセージです。
「仕事をする前にやることがあるだろう。」と。
こうした働き方をずっと続けていますと、地位、名声、報酬は上がるでしょう。
しかし、同時に失うものも大きいものです。
「イノベーション・オブ・ライフ」という本があります。「イノベーションのジレンマ」で
有名なハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・クリステンセンさんの著書です
。私が次世代リーダー候補の育成をお手伝いするときには課題図書として提示しています。
この中の「序章」を読んで欲しいからです。
(引用です)
わたしはどうすれば次のことが確実にできるだろう?
・どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろう?
・どうすれば伴侶や家族、親族、親しい友人たちとの関係を、
ゆるぎない幸せのよりどこにできるだろう?
・どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう?
自分の30代から40代を振り返ると全くダメでした。その際に多くの先輩、上司たちから
「仕事をする前にやることがあるだろう?」とのメッセージをもらっていました。しかし、
“そうですが・・”と言い訳をして自分の働き方を正当化していたと思います。その結果は
先人たちの予言通り「×」でした。
しかし、その後やり直しをする機会に恵まれたことはとてもありがたいと思っています。
当時の私の働き方を知る人からは、今でも“働き過ぎ”ではないかと、よく心配されます。
先日の入院騒ぎの際にも昔の友人たちから“働き過ぎ”ではないか、とメールをいただきましたが
、違います。あれは“まるごとバナナ”と“カルビ弁当”です。(笑)
アウトプットの質と量は過去よりも上がっていると思いますが、投入時間は圧倒的に
少なくなっています。
自分の仕事力(処理能力)を高めて時間を有効に使う。それこそ自分の「働き方改革」です。
仕事漬け人生の人へ
「仕事をする前にやることがあるだろう?人生の生産性を高めましょう。」
おまけー1:近くの某君に「仕事をする前にやることがあるだろう?」と聞いたところ、
「朝飯ですか。ちゃんと食ってきましたが。」。
この人は別の意味で心配ありません。
おまけー2:6月27日にパスの株主総会があり、開示していたとおり代表取締役CEOを退きました
。その後(ベタですが)六本木の老舗のアカスリ店に出かけました。
かつて夜に行ったときに「背中に彫り物」がある専門職の方に大量遭遇し、その後行くのを
避けていました。まあ、昼間なら大丈夫だろうと思って行ったら大間違い。
この方々は夜勤ですから、昼間に多いのは当たり前でした・・・
おまけー3:山城経営研究所主催の「柴田励司の講演:社長の覚悟~真に人を生かし強い組織を
つくるために~」(2017 年 7 月 24 日(月)15:00~17:00 椿山荘東京 11F マーガレット)に
20名の方をご招待します。
7月3日まで申し込みを受け付け、定員が一杯になった場合は抽選とし、結果をお知らせします。
ご希望の方は以下までメールでお申込みください。
お申込み先:花輪朱美 hanawa@kae-yamashiro.co.jp
氏名・会社名・お役職・メールアドレスを明記の上お申し込みください。