「男の顔は履歴書」。
誰が言いだしたのかわかりませんが、この言葉、昔から言われていますよね。1966年に
このタイトルの日本映画があるようですが、その前からこの言い回しはあったと思います。
かのリンカーンの“Every man over forty is responsible for his face”
という言葉もありますし。
本当にそうだと思います。男性に限らず女性もそうです。その人が背負ってきたこと、行いが
全て顔に現れると思います。毎日見ていると気づかないものですが、数年ぶりに誰かの
「顔」を見るとその変化に気づいて驚くことがあります。体重、メガネ、髪型、ヒゲ、
お化粧、ときに整形と、見た目を変える要素はいろいろありますが、根本の表情は隠せません。
そこに「履歴」が出ます。
先日、その昔、社会を賑わせた方とお会いする機会がありました。御年60台後半。20年前の
その方の作品や活動に影響を受けた現在の40代、50代は結構いるはずです。私もその一人です。
お会いして小一時間お話しさせていただきましたが、お話ししているときの表情は昔と変わらず
エネルギッシュで大変魅力的でした。さすがです。ただ、そのスイッチが入る前と面談後の表情に
「履歴」を見ました。私が想像できないようなご苦労をされているのだろうと拝察しました。
表情は、その言葉の通り、自分の感情が表出したものです。辛い想いやストレスはどんなに装った
としても表情の端々に出てしまいます。その蓄積がその人の「履歴」になるのだろうと思います。
私もそうです。先週、Facebookに以下の投稿をしました。
「柴田塾55回の写真・映像のダイジェスト版をもらったので、見てみた。2010年とか2011年の頃の
顔は”青い”の一言。あんな顔で偉そうなことを講釈していたのが恥ずかしい。顔は履歴書とは
よく言ったもの。これからも精進しないと。5年後に顔に出る。ちなみに自分的には今の顔が
一番気に入っている。(毛は薄くなったけれど。)」
2011年頃までの自分を取り巻く環境と出来事を振り返ってみると、精一杯“背伸び”をして、かつ、
個人的にいろいろな事に直面していたにも関わらず“平静さ”を装っていました。その感じが
顔に出ていました。笑顔の写真も心底笑っていない感じでした。
“ココロに静かな水面を”という言葉を14年前から座右の銘にしています。柴田塾を始め、リーダー
育成の機会でお話ししている言葉です。これは“瞬間湯沸かし器”というあだ名だった自分を戒める
ために呪文のように唱えていた言葉です。
人間の身体に占める水分の割合は60%程度と言われます。余裕がなくなると、この水が揺れます。
そうなるとそれが表情や態度に現れてきます。そういう人に周囲は話しかけにくいものです。他を
寄せ付けない気配が出ます。話しかけにくいリーダーには、悪い情報が最後に届くようになります。
そうなるとリーダーとしてはどうにもなりません。どんな問題でも後手にまわると、手が付けられなく
なっています。そうならないように、リーダーたるものいかなるときでも水面を揺らさない。
平然としていよう。という教えです。
しかし、まあ恥ずかしいことに当時の私の写真は平然としているように見えて、実際にはかなり
強がっている顔をしています。いろいろ器からこぼれていたのでしょう。まだまだ青かったと
思います。
最近は強がってはいません。自分で言うのもなんですが、以前よりもかなり柔和な表情をしていると
思います。自分自身が成熟したということもあるのでしょうが、環境の影響は大きいですね。
家族、周囲のみなさんに感謝です。
それでも数年後に今の顔写真を見たら、おそらく「青い」と思うでしょう。それでいいと思います。
昔は良かったではなく、そういう年の取り方をしたいと思います。
おまけー1:最近の若者の顔は「小顔」「魚系」が多いように思うとお世話になっているヘアサロン
NORAの広江社長に話したところ、“ああ、そうみたいですよ。最近の子はおしゃぶりを早く離している
こと、硬いものを食べていないらしくて、それが影響しているらしいすよ。”と。
隣にいたネイリストが“わたし、小さい頃にじいさんの「あたりめ」をがしがし食べてたからだ”。
(返答に困るつぶやき。)
おまけー2:金曜日の深夜にTV東京で「バイプレイヤーズ」という番組をやっています。これがいい。
私が大好きな脇役のみなさんが勢ぞろいです。彼らの「顔」はいい。多くのキャラクターを演じてきた
円熟さがにじみ出る顔をしています。
http://www.tv-tokyo.co.jp/byplayers/