M&Aの現状
M&Aは成長戦略に有効な手段である一方、M&Aの成功は3~5割と言われるほど 成功を実感してるケースが少ないのが現実です。
PMI (Post Merger Integration) が上手くいかない根本原因として組織感情融合 (Emotional Integration) に関する難しさが挙がることが多いです。
・役員、社員のモラル、モチベーションが低下していた
・経営陣の経営能力、リーダーシップが発揮できる環境になってなかった
・企業文化の違いから戦略実行スピードが遅れた
これは、組織=感情の集まりであり、恐怖や不安、不満が生じる為に起こります。
・買った側 vs 買われた側 という心理構図
・変化への疑問や拒否反応
・地位、処遇への不安や公平感
・出身組織での誇り、自負、愛着
しかし、M&Aにおける感情ケアの優先順位が低いのが現状です。
・ディール成約、他の統合作業にフォーカスしがち
・感情ケアはマネジメントの延長でやることである、という思い込み
・秘匿性により統合専門人員と予算が予め設定されにくい
PMI成功のカギ
PMIでは期限内に、多くの人を巻き込み、決めたことを確実にやり遂げなければなりません
いかに早く、組織感情対立を乗り越え
いかに強く、結束を作れるか がPMI成功のカギです
組織の融合を阻む要因
南米のソリモンエス川とネグロ川が交差するアマゾン川の始点“The Meeting of the Waters”では、ペルーを源流としてアンデスの雪を溶かしながら薄茶色に流れてくるソリモンエス川とコロンビアを源流とし浸水林をくぐり抜け黒色に流れてくるネグロ川が合流しますが、白と黒の水が混ざり合わずに10km以上並行して流れていきます。
この2つの川がなかなか混ざらない理由は
①Ph値 ②密度 ③方向 ④成分 ⑤速度 ⑥温度 にあると言われています。
これはPost M&Aにおいて、生い立ち、文化、社内システムの違う企業が中々交わることができないこととよく似ています。
川の 差異要素 |
組織における 差異要素 |
組織の融合に必要なこと | 融合が上手くいかないケース (組織感情対立に発展する) |
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Ph値 | 暗黙のルール | 暗黙知の見える化と統合 | 互いの意志疎通ができない |
密度 | 人数構成・分布 | 合意された基準による 役割配置 |
一方の企業にキーの役割が偏り、面従腹背 |
方向 | 方向性 | ビジョン、ミッション、 ターゲットの明確化 |
掲げられた方向性がハラ落ちしていない そもそもM&Aに納得していない |
成分 | 多様性 | 多様性の受容 | 出身組織、年齢、年次、所属組織、性別、国籍における偏見がある |
速度 | アクションスピード | 意思決定・行動スピード を合わせる |
意思決定プロセスが違う(簡素 vs 複雑) アクション期限の付け方に差がある(短い vs 長い) |
温度 | 感情熱量 こだわり | 当事者意識 何・誰のためにやるかの意志 | 買った(勝った)側・買われた側という構図 熱量を注ぐポイントの違いで機能しない |
組織感情を動かす基本フロー

組織感情の変化プロセス

Post M&AのEIソリューションフロー

プログラム一覧
Post M&AのEIプロセス設計
目的 | Post M&Aの組織感情融合のグランドデザインの設計 |
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概要 | 重要イベントをマイルストーンとした各フェーズ毎に異なる巻き込み対象者と関心事、成果物に合わせたソリューションの設計を行います |
アジェンダ | ・M&Aの目的確認 ・利害関係者の洗い出し ・キーパーソンの洗い出し ・M&Aコンサルファームとのアライメント ・ロードマップ作成 |
対象者 | M&Aディールをリードしている層 インテグレーションチーム |
研修期間 | 2週間~1か月 |
組織文化・組織感情診断(サーベイ/インタビュー調査)
目的 | 組織文化・組織感情の差異の把握 |
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概要 | 買収・被買収側の組織に存在する独特の文化や組織感情をサーベイによる基礎的な分析で差異の有無を把握します |
アジェンダ | ・買収・被買収側の組織文化/感情の調査 ・調査結果の差異分析 |
対象者 | M&Aディールをリードしている層 インテグレーションチーム |
研修期間 | 2週間~1ヶ月 |
株主と経営層でのアライメントミーティング
目的 | 核心的意思決定者の感情融合と方向性の統一 |
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概要 | クロージングや株式譲渡を決めた理由やその先のビジョンについて、所有と経営の権限者で理解し合い、新会社の発展にあたり力強い信頼関係にあることを再確認します |
アジェンダ | ・ M&Aの大目的の再確認 ・ お互いの期待や懸念を明らかにする ・ 統合プロセスの合意 |
対象者 | 新組織の役員クラス(CxO層)、大株主 *ケースによって、旧株主、旧経営者も参加 |
研修期間 | 2~3時間 |
組織文化・組織感情診断(相互社内調査)
目的 | 組織の実情を反映した現実的な組織文化・組織感情のGAP理解・体感の共有・分析 |
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概要 | サイニング後の段階からコンサルタント及びプロジェクトメンバーが、相互の組織の日常業務に入り込む形で、組織内文化(*河モデル)について理解をし差異を分析します |
アジェンダ | 組織に影響力のある主要部門に入り込み日常業務活動を通して互いの組織の状況把握をする ・組織の暗黙値まで触れるより深い買収・被買収側の組織文化・感情の調査 ・調査結果の差異分析 |
対象者 | Indigo Blueコンサルタント インテグレーションチームメンバー |
研修期間 | 1~2か月 |
新会社トップマネジメント(CxO・事業部長層)
ハイコミットチームワークショップ
目的 | 経営陣レベルでの組織文化・感情融合の阻害要因を乗り越えるための施策策定 |
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概要 | クロージング後、事業部門キーマンを含む新経営陣間において、「買った(勝った)側 vs 買われた側」という感情対立を乗り越えた、新会社の方向性に強くエンゲージされた状態を作ります |
アジェンダ | ・ 新リーダーシップメンバーの互いの人となりを知る ・ 新組織の方向性、統合プロセスの理解と合意をする ・ 信頼関係の構築、構築の仕方を学ぶ ・ “One Team”として働くことにコミットする |
対象者 | Day1以降の組織体制での役員層、事業部長層 *組合リーダーの参加をが励される場合あり *株主の参加が推奨される場合あり |
研修期間 | 3日間(2泊3日合宿形式) |
新会社ミドルマネジメント
ハイコミットチームワークショップ
目的 | 組織文化・感情融合の阻害要因を乗り越えるための施策案ブラッシュアップとアクションコミット |
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概要 | 組織体移行時に不安材料を受け止めなければならない層であり、現場影響力のある層であるミドル層が「買った(勝った)側 vs 買われた側」という感情対立を乗り越え、新会社の経営方針への Buy-In (心からの賛同)と当事者意識を醸成します |
アジェンダ | ・ 新経営陣との対話を通じて、新組織の方向性、統合プロセスの理解と合意をする ・ 新しい組織で同僚となるメンバーの互いの人となりを知る ・ 不安材料を想定内事項とし、前向きな感情を持つ ・ 信頼関係の構築、構築の仕方を学ぶ ・ “One Team”として働くことにコミットする |
対象者 | Day1以降の組織体制でのミドルマネジメント層 *役員層、事業部門層からも数名参加 |
研修期間 | 3日間(2泊3日合宿形式) |
チームアクティべーション&メンテナンス
(オフサイト後の関係性の質の維持・向上)
目的 | 施策を確実に実行するためのチームダイナミクスの活性維持 |
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概要 | 多忙な日常業務に戻ると、新しいアクション実行やチームの関係性維持への優先順位が下がり、個々人の熱量が落ちる傾向にありますが、意図的・継続的に関係性維持の場を作り、プロジェクトの円滑化やスピード維持に寄与します |
アジェンダ | ・キーメンバーへの個別ヒアリング (2か月毎) プロジェクトの進み具合、部内やメンバー間の関係性の懸念等、日常会議では取り扱わない声を拾い、組織・チーム状態を把握・分析。 *経営陣にレポート
・メンバーへの個別のサポート(必要に応じて) |
対象者 | 経営陣/ミドル層 キックオフ 参加メンバー |
研修期間 | EIワークショップ後半年~1年 |
ピットインワークショップ
目的 | 施策を確実に実行するためのチームダイナミクスの活性維持 |
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概要 | ハイコミットチームワークショップ後の活動を振り返り、当事者意識やチーム内の関係性を維持・向上させ、PMIプロジェクトが失速せずに実行されることに繋げます |
アジェンダ | 個別ヒアリングを受けて必要な関係者を集め、本音ベースでの懸念共有、優先順位付け、アクション設定、チームビルディングなどを含むセッションを行う ・ ハイコミットチームワークショップで行った事や感情を思い出す ・ ハイコミットチームワークショップ後の活動状況と課題の共有 ・ 自部門メンバーの感情面の様子シェア ・ 相互フィードバック ・レクチャー(PMIの失敗事例、 リーダーシップ、チームビルディングなど |
対象者 | キックオフ参加者 (経営陣、ミドル別々に開催) |
研修期間 | 半日~1日 / 3か月毎 |
MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)
ロードショー
目的 | 全社に向けた新組織の方向性の浸透 |
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概要 | 全社員に対し、新組織の新しい方向性の理解、経営陣と事業部リーダー層がアラインされていること、全社員のアラインが期待されている事を伝えていきます |
アジェンダ | ・経営陣からの方向性共有 ・事業部リーダー層から目標実現のために各部門の現場で起こしていくべき事柄の共有 ・強い組織作りに価値観行動が必要な理由の理解 ・求められる価値観行動の共有と深堀 |
対象者 | 全社員 |
研修期間 | 1日~2日/各回30名 |