多分これじゃないかな・・・的な人はたくさんいると思いますが、本人が確実にそれを自覚し、
会社もそれに基づき、その人のキャリア開発をしている、となるとかなりあやしいですね。
今の日本企業のほとんどが「できてない!」のではないでしょうか。
私はこれが今の日本の人事制度の最大の問題だと思っています。
会社から指示されるままに仕事を変え、年齢を重ね、気が付いてみると全て中途半端。
四十を超えて、”何ができるのか”と聞かれても明確に答えることができない。
そんな人材を輩出している人事制度はダメだと思うのです。
日本の組織の課題は(サッカー日本代表に関わらず)「個」の強化です。個々の社員が
自分は何をする人間なのか、より高い次元の仕事をするために何を強化すべきかを常々
自覚している・・・。「個」の強化のためには、これが大前提です。当事者意識がない中で
継続的な強化などできるわけがないと思うのです。
これは「なんとか長」というマネジメントポジションの話ではありません。「個」としての
「仕事人」としての話です。「長」の育成は次世代リーダー育成系の話です。これについては
計画的にやれている企業も少なくありません。私がIndigo Blueとして支援しているテーマ
の一つでもあります。
「個」の仕事人としての「実力」を強化するとしたら、まずは個々に自分の「仕事」の領域を
意識してもらうところからです。
仕事には大きく分けて以下の5つの領域があります。
1.営業領域(顧客に対して価値を提案、提供して対価をもらう仕事)
2.企画領域(ビジネスそのものやビジネスを発展させる事を考案し、それを実現化する仕事)
3.モノづくり領域(顧客価値そのものとなる商品・サービスをつくる仕事)
4.技術・開発領域(顧客価値をつくる源泉となる技術を開発する仕事)
5.管理領域(1から4の領域の仕事の評価・改善、及びそれらの仕事がうまく回るようにサポートする仕事)
業種・業態によってはこの5つ以外に独特の仕事があるでしょうが、どの企業・団体においても
概ねこの分類でいけるはずです。ちなみに、この5つはいわゆるバリューチェーンを形成する要素と
同じです。
個々人が自分はこの5つの中のどの領域の人間なのかを意識して仕事をする。または、その領域の
中で自分を高めるための機会に臨む。そういう環境をつくりましょう。
新卒の採用時点からこの問いかけが必要です。”どの会社に入りたいか”ではなく、”どの領域の
プロを目指したいか”です。大学のキャリアセンターや就職支援の会社には、特にこの視点を持って」
いただきたいですね。学生が会社を選ぶのではなく仕事を選ぶようにガイドしてもらいたいものです。
それぞれの領域で自らを高めていくために、必要な経験とトレーニングを積むことは当たり前ですが、
それ以前の問題として、元来の気質や性格的にむいている仕事に就いた方がいいに決まっています。
むいている仕事はちょっとやってみただけで、”好きだな”と実感できるはずです。
“好きこそものの上手だれ”。好きな仕事を思い切りやれる環境に身を置くと、加速度的に実力が
つくはずです。結果として、その会社の実力が上がります。(自分がむいている仕事は何かを
確認できる場があるといいので、現在某企業とそのための場づくりを検討中です。)
この仕事領域のことを”ジョブファミリー”と呼びます。個々の社員が自分の”ジョブファミリー”を
意識して、その中でより高い仕事ができるように自らを高めていく・・・。このような環境をつくれる
人事制度にしませんか、
ちなみに人事制度の根幹である「格付け」(等級とかグレード)もジョブファミリーごとに
その発展区分をつけて、個々人を位置づけすべきです。
ここを「長」を上位においた設計にすると、優れた「個」のゴールが「長」になってしまいます。
「長」は現場で”顧客価値をつくる”仕事ではありません。メンバーたちが”顧客価値をつくる”の
を支援する仕事です。デキる「個」を「長」にしていくと、現場からデキる「個」がいなくなって
いきます。私は、これは変だと思います。(組織的に弱くなります。)
私は「企画領域」の人間だと思います。そういう仕事が好きです。
が、「管理領域」の仕事をやっていたこともありますし、「営業領域」の仕事に就いていたことも
あります。これらは全て「企画領域の仕事」の深さと幅を広げるために必要な経験だったと思います。
これがジョブローテーションの意味です。現実的には”玉突き人事”もあるでしょうが、
とある領域でより高い次元の仕事をしてもらうために、意図的に他の領域の仕事に就かせる、
という配置をしてもらいたいものです。
(現在、某企業でこの考え方に沿って新人事制度を設計中です。
この企業の事例が世の中の先駆け事例になることを祈って。)
おまけー1:先日の詐欺話の続きです。「舟木美江さんから”娘の命に関わる問題です・・・。
8,000万円受け取ってください。・・・」というショートメールが届きます。
さすがにこれは確実に詐欺だと判断しているので返信していません。
おまけー2:Indigo Blueで体験型ケーススタディの小道具として必要なので携帯電話を大量に
同時に購入しようとしたところ、詐欺集団と思われ、購入希望が却下されました・・
おまけー3:「何に使うんですか?」
「研修です。」
「・・・どんな研修ですか?」
「プロの役者が役になり切って受講生に電話するんです。”おカネちゃんと払ってください”とか」
「・・・認められません。」