Vol.513  偏差値よりも大切なこと

若者の未来が「偏差値」で決まらないようにしたいと思っています。“圏外大学”

(偏差値で低位の大学)の学生、はたまた大学に行っていない人たちが「機会」を

つかむことができる。そんな場をつくりたいと思っています。

 

大学生が社会で活躍できる力(就業力)を身につける場を作りたいと思い、

2010年後半に某予備校と共同事業でMiraibaなる場をつくることを計画しました。

当時、日経ビジネスにも取り上げていただき、気合十分だったのですが、3・11の

影響で残念ながら頓挫。4年の月日を経て、再度この種の企画を議論し始めました。

 

みなさんご存知のとおり、2016年卒業予定者(現在の学部3年、修士1年など)より、

就活スケジュールが後ろ倒しになります。学部3年の3月からの解禁、採用選考開始は

4年生の8月(現在は4年生の4月)からのスタートとなる見込みです。

 

これにより、これまでよりも短い期間で選考となります。偏差値の高い大学に通う学生への

アプローチが今よりも強まるだろうと言われています。短期決戦になるので“まずは

偏差値の高い大学から・・・”となるからです。“圏外大学”の学生は最初からハンディが

あることになります。

 

これはいかん。なんとかしたい。偏差値の高さと社会で活躍できる力は必ずしも

イコールではありません。“圏外大学”の学生の中にも、“キラリと光る原石”がいます。

この原石を見つけ出し、磨き、偏差値の高い大学生たちに召集がかかる選抜の場に推薦状を

つけて送り出したい。そのための「場」をつくりたい。これが企画の原案でした。

 

この議論を深めるためのブレストを重ねていくうちに、もう少し広い視点が出てきました。

 

そもそも偏差値が高い学生を求める理由は、「知識の量」や「答えの決まった回答を

埋めることが得意」だからではありません。地頭の良さです。個人差はあるものの、

勉強に“真剣に取り組んだ結果”が地頭の良さを形成し、その結果、偏差値の高い

大学への入学につながっていると捉えているわけです。

 

体育会系の学生が求められるのも同じです。一定期間スポーツに“真剣に取り組んだ”

ことを評価しているわけです。それが社会での実践力につながるとみなしているわけです。

 

つまり、社会に出る前に何かに“真剣に取り組んだ”かどうか。これが論点なのです。

 

幼稚園や小学校受験をさせて、そのままエスカレーターで偏差値の高い大学に入った

ような場合には、“受験勉強に真剣に取り組んだ”機会がありません。その大学に

在籍していることが大事なのではなく、何をやってきたのかが問われているのです。

ここを理解せずに幼児にお受験させるのは本質を見誤っています。

 

“真剣に取り組んだ”経験を問う、ということになりますと、圏外大学はもちろん、

さまざまな事情で大学に通っていない人たちの中にも何かに“真剣に取り組んだ”

経験がある人はいるはずです。その人たちも、“受験勉強に真剣に取り組んだ人たち”と

同様に取り扱われるようにすべきだという思いに至りました。

 

つまり、“真剣に暴走族のリーダーやギャルサークルをやっていた”が故に高校を退学に

なったとか、“真剣に部活に取り組み過ぎて”大学を中退したとか、こういう人たちが

“その気になった”ときに参加できる場にもしたいと思ったのです。経済的な理由から

進学できないが、物事に真剣に取り組む点では折り紙つきという人がいたら、

その若者も対象にすべきだと思ったのです。

 

こういう、いわゆる“アウトロー”の若者を見つけ出し、本人にその気があれば面談等の

審査を経て“入場”してもらう。そういう場にしたいと思っています。

 

この“見つけ出す”という点で、人事部長経験者で定年後の方々の力を借りたいと

思っています。スカウトマンになってもらいたいのです。また、高校の校長先生たちにも

お力添えいただきたいと思っています。

 

偏差値の高い学校に進学しなかったが、“こいつは折り紙つきだ”という若者がいたら、

教えていただき、スカウトマンが面接し、○であれば本選考に臨んでいただくように

したいと思っています。

 

「場」に参加するのは、この“アウトロー集団”から選抜された若者だけではありません。

そこに偏差値の高い大学から選抜された若者も入れたいと思っています。

“真剣に取り組んだ経験”という共通項。かたや受験勉強、かたや部活・サークル、社会活動、

バイト・・・この組み合わせでの学びは双方に大きな気づきがあるはずです。

 

毎月開催している柴田塾にはいろいろな企業からの派遣があります。日本を代表する

企業から選抜された逸材、ベンチャー企業、外資系企業などなど。エリートぽい人もいれば、

雑草系もいます。その混成メンバーで「体験型ケーススタディ:Organization Theater」

に臨むことで、強烈な気づきが生まれています。“理”にはめっぽう強く、状況分析も

得意なエリートが“情”を解せず事態が停滞するところを、“共感力の高い”雑草が救い、

双方に認め合う・・・そんな体験です。

 

これと同じことを偏差値の高い学生に体験してもらいたいのです。さもないと、この就職戦線の

中で変におだてられて著しい誤解をしたまま社会に出ていく可能性が大だからです。

 

運営はNPO的にやりたいと思っています。企業からのスポンサー、個人からのファンディング、

これらの組み合わせで運営したいと思っています。詳細設計はこれからですが、人事の目の

読者の皆さんの中で、“よし、手伝ってやろう!”という方がいましたら、よろしくお願いします。

 

 

おまけ―1:「her-世界で一つの彼女」観てきました。ちょっと“大人モード”ですが、

良質の文学に触れた感じです。 http://her.asmik-ace.co.jp/

 

おまけー2:提携した米国行動科学の専門コンサルティング会社からドイツ人女性が来日。

すごいひっつめの髪型だったので、“その髪型は強い印象を与えるから、もう少しフェミニン

の方がいいと思う・・・”とフィードバックしたところ、アメリカで異文化コンサルタントから

“日本で働く女性はひっつめだ”、とアドバイスがあったとのと・・・

(依然として変なコンサルタントがいるらしい)

 

おまけー3:社内にてファミリー参加行事を企画したい方向けの、親子で参加できる

体験型謎解きイベント「クロネコ探偵団」の体験会、あと若干名OKです。

 

2014年7月19日(土) 10:15~ 2時間程度

 

http://event.indigoblue-service.com/kuroneko/

 

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