「過度の忖度行動」。これがあると、進むべきことが進まず、空回りすること多発。
いいことがありません。
大辞林では「忖度とは他人の気持ちをおしはかること。推察。」とあります。
忖度そのものは、もちろんいい事です。但し、それが過度になるからいけないのです。
組織を蝕み、動きを止めます。
例えば、現場で頻繁に起きているクレームについて。“こんなことで忙しい「上」を
煩わせてはいけない”、と現場の責任者が考え、「上」へ報告せずに対処する。
「上」は顧客の声を一番大事にしたいと考えているにも関わらず、ついぞこその実態を
知ることはありません。
「上」が発案したことが実は的外れ。しかし、そう言ってしまうと「上」が気分を
害するだろうと(怖れて)誰も進言せず、そのプロジェクトが動き出す。
プロジェクトに参加させられたメンバーは誰もが“うまくいくわけがない”
と思っているので力が入らず、当然結果も出ない。
この手のことが蔓延している組織をたくさん見てきました。
「上」からすると恐ろしいことです。意図せず「裸の王様」になっているわけですから。
「上」の行動がそれを助長していることはあります。「上」について不満を持つ
幹部たちと「なぜ、過度の忖度行動があるのか」について議論すると、
たいてい次の議論になります。
・「忖度せざるを得ない状況」がある
・上が意図を明らかにしてくれない
・コミュニケーションスキルの問題もあるだろうが、保身のために、
どっちにでもとれるように話しているのかもしれない
・または、上が忙しさにかまけて情報共有をしてくれない
・そこに忖度を期待する「上」の甘えがあるのかもしれない
(自分も忖度してきたからとして)
・さらには周囲に忖度する人が多いので自分も忖度せざるを得ない
・なぜ、そうかというと、忖度しなかったがばかりに“エライ目”に遭った人が
多いから(または多いと思っているから)
これらは全て「上」が悪いという論調です。忖度せざるを得ないのは「上」のせい
という話です。私もこれが主要因だとして「上」に行動改善を求めたこともあります。
確かにそういうこともあるのでしょう。
但し、最近私はそれが全てだとは思わなくなりました。
いつの時代でも「上」がどんなに横暴でも、「上の顔色を気にせず言いたいことを言う」
ヒトはいます。こういう人は過度の忖度をしないだけです。必要な忖度はします。
ホスピタリティ(相手が期待することを予見して先に動く:柴田の定義)マインドが
十分にあります。ですから、言いたいことを言っても「上」が聞く耳を持ちます。
一方で、いつの時代にも過度の忖度をし続けるヒトもいます。
私は「上」以外の要因、過度の忖度行動を自発的にとっている中間管理職が多いこと。
これが主たる要因ではないかと考えています。「上」の行動はそれを増幅している副因だと。
過度の忖度行動を採る中間管理職は、「上」を言い訳にすることが多いです。
“「上」がこう言っている”、“「上」からの要請です”・・・等。ひどいのになりますと、
恥ずかしげなく自分の主張を変えます。その中間管理職からの要請で行動したのに、
ひとたび「上」の意向が違っていることを知るや「自分はそんなことをやれと言った
覚えはない」と平気な顔で言います。
中間管理職の人選に問題があるのではありません。そもそも多くの人が「過度の忖度行動」を
採る資質を持っているという事だと思います。そういう人が中間管理職という板挟みの
ポジションに就くのでその資質が開花してしまうのです。
過度の忖度行動を採る源泉は「ヒトの目を気にし過ぎる意識」だと思います。周囲から
自分がどう思われているか気になる。これは会社組織の中の問題だけではありません。
ママカースト、いじめ、社会全てに蔓延していると思います。
その根底にあるのは「周りに悪く思われたくない(嫌われたくない)」という意識でしょう
。“良く思われたい”は、集団社会の中で生きていくために必要な社会性ですが、
敏感過ぎるのが問題なのです。
この敏感過ぎる人が若い世代を中心に増えているように思います。
その一つの原因は幼い頃からの「評価」だと思います。ロールモデルや模範との比較を
小さい頃からずっとされ、会社に入っても評価制度があり、これを意識し過ぎている
のではないでしょうか。
この精神構造が生まれるメカニズムを壊すこと、または周囲の目に敏感過ぎる意識を
解き放つことをしていく必要があると思っています。 しかし、これをどうやるか。
今、その模索中です。(勉強会をやろうかと。)
おまけー1:京都に立ち寄ってきました。紅葉の本格シーズンはこれからですが、
おまけー2:京都水族館で「鱧と鰻とうつぼの比較をしている」というエキサイティングな
企画の話を聞き、帰京前に17時閉館のところ滑り込みで入りました。
おまけ-3:残念ながらこの企画2012年の企画と判明。代わりにオオサンショウウオを
たくさん見ました。鴨川の上の方にたくさんいるらしいです。実は中国からの外来種らしいです。
(興奮しますよね)