「上」になればなるほど仕事をしなくなるのが日本企業。その真逆が外資系企業の本社。
15年ほど前はそうでした。最近は変わってきましたね。日本の会社も「上」が目一杯
働くようになりました。
「上」になればなるほど、求められる仕事の質が上がり、対応しないといけない量も増える。
だから報酬が高いわけです。ところが、昔の大企業や官公庁では、おおむね課長時代が
ピークでその後は自分で“動くこと”“手を動かすこと”が、ぐーんと減るのが一般的でした。
下がお膳立てした内容にそって動くのが上の仕事になります。“あれはどうなってる?”、
“この担当は誰だ?”あれを持ってきて”等々。
判断業務という名の下に“口で仕事をする”ようになるわけです。
これが結構様変わりしてきました。今では、多くの企業で「上」であっても、自分で動き、
自分で資料を作成し、自ら話す、ということを当たり前のようにやっています。新興企業は
みんなそうです。ただし、勘違いしてはいけません。そこでやっているのは
「上になる前の仕事」ではありません。「上」の仕事です。
ここを理解しないで「今までと同じ仕事」をガンガンやるのはダメです。部下の領域を
侵食しています。それをしてしまいますと「下」が育ちません。更には組織としての
成長も見込めません。ガンガンやるべきは「上」ならではの仕事です。
「上」ならではの仕事とは。
‐自分がやっていた範囲の仕事をやる人間の成長を支援すること
(そのための機会を創出し、動機付けする)
‐組織全体の感情を高揚させることを企画し、実行する
‐自分たちがやっている仕事の生産性を劇的に高めるために何ができるか考え、動く
‐自分たちが創出している顧客価値を劇的に高めるために何ができるかを考え、動く
‐「上」としての仕事をするために人的ネットワークを拡大させる
‐「上」としての仕事をするために、自分へのインプットをする(新技術や業界動向の勉強など)
「今やっていること」の維持拡大ではなく、「今やっていること」そのものを俯瞰して、
「今」の次元を上げる。それが「上」の仕事です。“あいつはまだまだだ”とばかりに
、自分の後任者の仕事ぶりに口出しをしたり、頭ごなしにマネジメントしてしまうのは
「上」としての責務放棄です。
技術動向、働く人の意識、消費者の目など、事業を取り巻く環境は刻々と変化しています。
常にそう言われていますが、間違いなくこの変化が顕在化していると思います。
ぼやぼやしていると本当に置いていかれます。「上」が新しいことへのアンテナを
3本以上立てて動いている姿に「下」は刺激を受けます。置いてけぼりにならないように
闇練をする人たちが出てくるはずです。
ただし、「上」だけが新しいことを吸収し、その果実を「下」に分けないでいると、
「上」と「下」の距離がどんどん広がってしまいます。
事業が好調なオーナー企業でよくあることです。オーナー社長はいろいろなところに
出かけ、人に会い、見識・見分を深めます。「下」は目先の仕事で手一杯です。
そうなると、「上」の言葉が通じなくなります。「下」に世の中に触れるチャンスを与えずに、
「世の中はこうだ。お前たちの意識は低い!」などと「上」がやった日には最悪です。
「上」に対する意識はとげとげしいものになります。何をしてもうまくいかなくなります。
悪循環です。
びっくりするのですが、「上」が“口だけで仕事をする”やり方をいまだに踏襲している
のではないか、という大企業も残っています。はっきりしているのは、その「上」の
仕事のやり方を変えない限り、優秀な若者は定着しません。優秀でかつ健全な野心がある
若者にしてみると、そういう「上」の存在は“うざい”のです。
おまけー1:いよいよ「もしかして、ブラック上司?」発売です。11日ころには書店にも
並ぶだろうと聞いています。ぜひ、手にとってみてください。
おまけー2:新幹線。名古屋から隣の席にどかっと座ってきた大柄な若者あり。
いかにもスポーツ選手。ちらりと見たその顔はプロゴルファーのIRくん。
「ほう。思ったより大柄だな」と思っていたところ、
IRくんは千葉県の方で首位キープとのネットニュース。「ん?じゃ、この人誰だ?」
(IRに似ているプロスポーツ選手)とコソコソ検索したら、あ!この人だ!
おまけー3:大阪の某駅。同じ時刻に特急を走らすの止めてほしい。プレミアムカーに乗車。
安心してパン食べてたら、アテンダントの女性が
“あのあの、お客様は反対方面の予約をしていますが・・・”(しかも、特急だよ。)