今日のテーマは「ホスピタリティ」です。
まず、はっきりさせておきたいことがあります。
決められたサービスを正確に提供すること。
これはホスピタリティとは次元の違うこと。それは基本動作の話です。
相手の状況、心象風景、期待していることを察知して、
その相手にとって最も負担にならないように、または
最も手助けになるように動くこと。それがホスピタリティだと思います。
相手が感動するように、となると少々やり過ぎ。結果として、相手が
「感動した」のであればよいのです。ホスピタリティには
「さりげなさ」の要素もあると思います。
もっとも、このように定義した瞬間に何かが失われる感じがするのが難しいところですが。
ホスピタリティはホテルとかレストランのような、いわゆる接客サービスの現場の
話だけではありません。ビジネスの全てのシーンで関わってきます。
ホスピタリティの有無がビジネスそのものの成果に影響すると言っても
言い過ぎではないと思います。
ビジネスの世界でわかりやすくするために表現を変えましょう。
最も近い言葉を選ぶとすると「気働き」でしょうか。「気が利く」でもいいかもしれません。
KY(空気が読めない)はその逆で、ホスピタリティを欠いているということになります。
「気働きができる」。これって生来のものなのか、経験やトレーニングみたいなもので
なんとかなるものなのか、常に論点になります。
私は「生来のもの」の要素が強いだろうと思います。それは否定しません。
が、トレーニングを含む(後天的な)環境要因でどうにかなるのではないかとも考えています。
例えば「気働きできる」ヒトがたくさんいる中で働いていると、
自然に気働きできるようになるのではないか。また、「気働き」や
「気が利く」事例を知る(学習する)ことでなんとかなるではないかと。
以前にも書きましたが、ヒトに優しくできるのは「優しくされた」経験があるからです。
それが心地よいことがわかっているから、それが嬉しかったから、ヒトに優しくできるわけです。
これと同じで、気働きしてもらった経験があれば、それがまさに
気働きのエンジンになるのではないかと。
小学校の頃に年上年下入り混じって、やんちゃな遊びをすると、どこかしらで誰かを
気にかける動きが自然におきます。砂場が苦手ななんとかくん、とか、
高いところが嫌いななんとかチャンとか、犬が怖いなんとかクンとか・・・。
こういう中で自然に自分以外のヒトに気を使うことを学びます。
最近(ここ15年ほど)はそういう遊びの機会が減っています。
なにしろ、公園で子供たちだけで遊んではいけない、という風潮です。
そうなると、家の中で個人で時間を過ごすことが多い。
或いは親と一緒の時間を過ごすことが多くなっているはずです。
そうなりますと、親からケアされることはあっても、他のヒトにケアすることは少ない、
という状況下で育つことになります。親からのケアはそのありがたみが
一番気づきにくい。
その結果として「気働き」をほとんどしたことがないままで
大人になってしまうわけです。
彼ら彼女らに非はありません。昔とは育った環境が違うわけです。
だからといって「気働き」ができないとビジネスの世界では不利。
これでは若い世代が気の毒です。
「気働き」できるようになる(教育)機会があるといい。・・・
ということで、Indigo Blueではそういう機会を創ることにしました。
柴田塾の進化系の一つです。
自分がしてもらって嬉しかったこと、助かったことの記憶を呼び戻す。
加えて、誰かのことを考えて、そのヒトが嬉しいと思ってもらえるようなことをする。
それが育成プログラムの骨子になります。
ちょうど福岡行きのJAL便の中でこれを書いています。
PCに向かう私に「お飲み物はいかがいたしましょう?」
とキャビンアテンダントのお姉さんがにっこり。
「スカイタイムをお願いします。」(JALだといつもスカイタイム)
こういう瞬間に(ストローをさしましょうか?)
というサインを送ってくれる方に会うとホスピタリティを感じます。
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おまけー1:「部長、奥さんから電話です。」「仕事中にかけてくるな、と伝えてくれ。」
名字が「奥」というだけで、こういう展開になることがあるそうです。
とある企業の奥専務から聞いた話です。
この部長、Indigo Blueのホスピタリティ講座に参加してもらいたい。
(電話を取り次いだヒトも、専務の奥さんからと言えばいいのか。
しかし、それでも違う風にとるか・・・?)
おまけー2:お客様をエレベータまでお送りして、「ありがとうございました」
とお辞儀をしてアタマを上げてもまだエレベータの扉が開いたままだと困りますよね。
特に、このシュチュエーションと関係なくエレベータに乗っているときが困ります。
しかも、間違えて「開」のボタンを押したりすると空気感としては最悪です。