ご心配をおかけしました。退院しました。通常スケジュールに戻っております。
それにしても、セカンドオピニオン、しかも自分をよく知っている医師の意見の大切さを
痛感しました。
入院先では手術(胆のう摘出)を再三勧められました。しかし、退院後訪れた20年近く
お世話になっているクリニックの先生曰く、「切らずにいけます。」。入院先の病院が
「問題あり」とした箇所も「前からあるし、問題なし」との判断。ワンショットの
検査数値で判断するのは危険。長きにわたって観察しているからこそわかることあり。
これは医療に限らず、なんでも同じですね。
さて、今日のテーマは「かばん持ち」です。いま、私のところに日本を代表する企業3社から、
それぞれ1名「武者修行型出向(留職)」受け入れています。それぞれパスグループの中で
役割を持ちながら、1か月に3日程度、柴田励司の「カバン持ち」をしてもらっています。
といっても、実際に「カバン」をもってもらうことはありません。柴田励司の仕事上の
スケジュールに基本的には全て帯同し、柴田励司がやっていることをすぐそばで
見てもらい、それぞれの出来事についてどう感じたか、レポートを出してもらうのが
仕事です。
取締役会や限定メンバーによる経営会議にも同席してもらいます。柴田励司の講演や
お客様との会食にも。社外秘のディープな議論の場にも。ときには無理をお願いして、
柴田励司が社外役員を務める会社の取締役会にも参加させてもらっています。
彼らはそれぞれの出向元で将来を嘱望された人材です。年齢もアラフォー、アラサーです。
彼らの今後を考えるとちょうどいい時期に来てもらっていると思います。
人の成長に大きな影響を与えるものは「経験」です。どれだけ刺激的な場を経験したか。
これがその人の器の弾力性を決めます。安定した企業、恵まれた環境の下では「刺激」が
ありません。
一流企業では仕事そのものの質的な要求はあるでしょうが、それはあくまでも特定領域の
深耕です。必要なものは、自分を見つめざるを得ないような体験です。これがない状態に
長らくおかれますと、自分の器の内壁が硬直化し、「学ぶ」姿勢がなくなります。
つまり、成長が止まります。
体験型ケーススタディ(OT:Organization theater)を開発し続けているのは、
大企業の次世代人材の硬直化しつつある内壁にひびを入れようと思ったからです。
新卒で大企業に入社。10年経験した人間と同じく新卒でベンチャー、中小に入って10年経験
した人間を「柴田塾」という同じ場で見たときに、その実力、学ぶ姿勢に大きな差が
ついていることを実感しました。大企業の人材は優秀です。知識はあります。
しかし、早くも器の壁が硬直化している人を多く見かけます。胆力、人間的な魅力、
成長ポテンシャルで、ベンチャー、中小経験者に劣ります。
社会人になった時点の評価は真逆だったろうと思いますが。
OTは修羅場・有事の疑似体験です。修羅場とは全力を尽くしても、どうにもならない
という局面です。この局面で自分がどう動けたか、動けなかったかを実体験してもらい、
内省を促しています。本当に優秀な人間はこの疑似体験で気づきを得て、
器の内壁を自ら取り払っていきます。
OTは通常版が2日、長くても3日です。経験ということでは、これよりも、働く場
そのものが「修羅場・有事」の方がいいに決まっています。しかし、一流の大企業には
そういう場がないものです。
そこで、大企業で次世代を担う若者には一定期間、社外の「安定しない環境で武者修行」
をすることをお薦めしていました。3年前にパスの再建を担うことになり、
パスそのものが「修羅場・有事の連続」ですから、この場も提供しようと考えたわけです。
パスグループにおける通常の役割については、さすがに大企業で将来を嘱望される
人材だけにみな大いに貢献してくれています。その上で日々の気づきが彼らにとって
財産になっているだろうと思っています。昨日、その一人がこう言っていました。
「自分は何者でもないことを痛感しています。」
この気づきは大きいですね。大企業にいると無意識のうちにその看板で仕事をしている
ものです。それはその人の実力ではなく看板の威光。看板ではなく、自分の魅力・実力を
磨くことに気づいたようです。
私は今月末でパスのCEOを退きますが、「カバン持ち」は継続。
柴田励司の様々な活動に帯同してもらう予定です。
おまけー1:胆石発作の直接の引き金は「まるごとバナナ」だと疑っています。
食生活を改善します。
おまけー2:点滴がとれた後に黒いTシャツで病院内を歩いていたら、他の病棟のナースたちが
挨拶してきました。ドクターに見えたらしい。
おまけー3:病院内の売店に「ん?」という食べ物、雑誌あり。
あれ買うと没収されるにちがいない。