830号「ヒトが育つ組織の条件②」(メールマガジン「人事の目」より)

「ヒトが育つ組織の条件」その2です。

人事の目828号でヒトが育つ組織の条件として、以下のイネイブラー的要素(風土・環境)を挙げました。

「失敗を許容する風土がある」
「チャレンジや独創を奨励している」
「言い出しっぺがバカをみない(言わせた上で批判しない)」
「おせっかい風土」
「上が若い人に自信を与える発言をする」
「組織内に前向きの発言が多い」
「トップが楽観主義である(脳天気ということではない)」

イネイブラー的要素は重要です。ただし、その前に本人が“その気”にならないと始まりません。周囲に刺激を与えるヒトがいるか、胸躍るような仕事がアサインされるか。この2点の影響が大きいと私は思っています。

これらは以下のサイクルで回っていると考えます。(2021年2月15日朝学の会から)










“その気”になった人が何らかのチャレンジを行い、その気が満たされ、さらに次元の高い“その気”になり、さらなるチャレンジに臨む。というサイクルです。チャレンジしやすい環境にするのがイネイブラー的要素です。

このイネイブラー的要素を会社側で用意し過ぎてはいけません。これらは組織の中で影響力のある人たち(管理職クラス)が意識し、それぞれのやり方でやってもらうという“自然環境”でよいのです。そのための啓蒙はしましょう。ただ、お膳立てしてはいけません。あくまでも組織の中の人たちが自分の意思で動くこと。これが肝です。(温室にしてはいけません。)

ここまで語ってきた「ヒト」は大多数の”普通の人”のことです。これはこれで重要です。ただ、多くの日本企業にとっての人材開発上の最大の課題は“グローバル環境において第一線で活躍できるヒト”、“世の中に強烈なインパクトを与えるようなヒト”を育てることができるか、だと思います。前者がいわゆるグローバル人材、後者が「ゼロ1(ゼロから1を生む)人材」です。

前者については「内なる国際化」が一番効きます。本社の非日本人比率を高めて、グローバル環境を当たり前にする。これです。そこに行くまでは海外拠点に放り込む、上司を非日本人にする、現地法人のトップをThird country national(良い日本語がありませんが、日本人でも現地出身者でもない第三国の人が担う)にする、などがあります。

後者の「ゼロ1人材」について、世界にインパクト与えた商品を生み出してきた組織の特徴が参考になります。共通しているのは以下の2点です。

・アングラ研究が認められている
・規格外の人材を守るスポンサーがいる

アングラ研究については制度的にやるのではありません。やりたいことを自由にやれる環境ということになります。ただし、規格外の人であれば、それが認められていようがいまいが、やりたいことはやるでしょう。最も重要なのはスポンサーの存在です。

このスポンサーですが、社内でそれなりの影響力がないといけません。あの人が認めているのだからしょうがない、と思わせることができる人です。加えて、規格外の人がその人のことを認めていないといけません。概して、規格外の人は自分以外の人を認めません。それでも、このヒトの言うことは聞こう、このヒトを喜ばせたいという存在はいます。そういう存在がスポンサーとして後ろ盾になっている。これが「ゼロ1人材」が育つ組織であることを過去の様々な事例が物語っています。


おまけー1:致知出版から出ている「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」はいいですね。内容もさることながら、この本の企画が素晴らしいと思いました。

おまけー2:Zoomのチャットで「ガヤ」をいれると面白いですよ。

おまけー3:“ビジネスは変わった、人材はどうだ?” NOBETECHさんが取り上げてくれました!

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