Vol.767「聞いてない」(メールマガジン「人事の目」より)

東京オリンピック「マラソン」の札幌開催。IOCの突然の方針発表に小池都知事が
「聞いていない」と反発しました。東京都からのカウンターオファーとして「東京で
午前3時スタート案」が出ているようですね。最終的にどうなるかはまだわかりませんが。

この「聞いていない」。“自分は当事者の一人のはずなのに聞いていない”という感情です。
すべてのコミュニケーションのプロセスにおいてネガティブに働きます。どんなに筋が
通った話であったとしても、「聞いていない」と感じるとその人の態度は硬化します。
”ひとたびこの感情が生まれると、どんな人でも“ぐれ”ます。特に自分こそは当事者中の
当事者と思っている人は超ぐれます。その案を潰すためのモチベーションさえ、わいてきます。

組織の中のコミュニケーション問題の大半はこの「聞いていない」によるものです。
大組織になればなるほど、上の決定を伝えるというプロセスになりがちですから、
気をつけた方がいいですね、。「上の決定」というときに、直接は関係しないが「執行役員」
「部長」という立場の人にしてみると、その情報を得るタイミングがその他大勢と
同じであったりしますと、自分が軽んじられたような気持ちになります。そうなると、
決定事項の実践は様子見になりがちです。

組織の中の情報の流し方一つでそれが実行されるか、されないかが決まると言っても
いいでしょう。そのくらいセンシティブなものです。これは時代が変わっても、
コミュニケーション手段が多様化しても、人の集団を相手にしている以上変わりません。

「**さんだから伝えますが・・・」「ここだけの話・・・」

上位職が良く使う言葉です。聞く側も自分だけに伝えていないことはわかっていますが、
そう言われると悪い気はしません。自分のことを大事に思ってくれていると思うものです。

かつて、こんなやり方をルール化したことがあります。

全社員向けのトップメッセージを出すときには、まずはトップまでのレポートラインが1の
人全員にメッセージ案を送ります。その際に「意見があるときには3時間以内に伝えてほしい。
3時間以内に返信がない場合には了解したものとみなす」と書きます。

その上で、3時間後に全管理職宛にメッセージを流します。その際に「**時にこの
メッセージを全社員向けに発信します。内容についての質問、意見は**時までにお願いします。」
と書きます。

その後、概ね最初から6時間後くらい(平時の場合、有事だと2時間後)に全社員に
メッセージを発信します。これにより、メッセージを読んだ現場の社員が管理職に
そのメッセージの内容について質問したときに「それはね・・・」と管理職が話せます。
この配慮がないと「俺も知らないんだ。」となり、現場が混乱します。

上がこうした配慮をするだけで組織内のコミュニケーション問題は激減するはずです。
更に、役職にはついていないが会社のことを自分事として捉えている若者がいるはずです。
こうした若者は自分の意見を聞いてもらいたいと思っています。そのために、非公式組織(
社員会とか若手との座談会とか)を通じて、直接意見を聞く機会を設けましょう。
それだけで、発信メッセージの実行力が上がります。

ちょっとした配慮。これが組織感情を安定させ、実行力を高めます。


おまけー1:「俺はマラソンは北海道開催にしたらいいと思うんだよ」と数カ月前に
仰っていた方がいました。「マラソン札幌開催か!」という報道を目にして、いの一番に
その方に「すごい影響力ですね」とメールを送りました。ご本人から「いや、札幌ではなく
網走開催だ」との返信あり。もし、網走になったときには、この方がIOCの黒幕と確信します。

おまけー2:全国どこにいってもSUICAで電車に乗れます。これで全国どこのタクシーでも
SUICAで精算できるようになると、日本はすでに「MAAS」サービスが実現していると言ってもいいかも。

おまけー3:再春館製薬の「長白仙参」 靴下をはくときに、よろける人へ。
「長白仙参」

 

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