Vol.756「上を待っていては改革はできない」(メールマガジン「人事の目」より)

これまでのやり方では“変わらない”ことがあります。例えば、学校と教育委員会の
あり方、最近話題の郵便局の事業構造、重厚長大の大企業の組織運営などなど、
枚挙に暇(いとま)がありません。いずれも待ったなし。
当事者、関係者は声高に叫んでいます。“改革が必要!”

改革は叫んでいるだけでは起きません。御上(おかみ)がやってくれるものではありません。
改革の推進者は現場のリーダーです。現場のリーダーは“変えて欲しい”と上に直言する
のではなく、自分たちで“変えていく”のです。

そもそも現時点で支配力を有する人たち(政権与党、行政、本社、現経営陣など)は
改革の主体にはなり得ません。政治家、行政、本社がカバーすべきは“広くあまねく”です。
そうなると既得権について意識せざるを得ません。改革が必要なことはわかっているが、
既得権も守らなければならない。これでは身動きがとれません。掛け声ばかりで実
行されないのはこのためです。

特に、政治家は自分たちに投票してくれた人たちのために働かねばなりません。
地元の支持基盤の顔がちらつきます。未来を創る!といっても投票すらしない若者の
ための案件は現実的には後回しになります。

平成28年の調べによると、20歳から24歳までの若者の人口は5,899千人。一方で、
65歳から69歳は10,224千人です。高齢者の2倍近いの若者が投票しない限り、自分たちの
ための案件が前に進むわけがありません。ここは若者たちが反省すべき点です。
自分が思うような国にしたいのなら選挙に行け!、投票せよ!若者たちへの啓蒙を
もっとやらないといけません。

改革は現場から。それぞれの現場でこうした方がいい、と思うことをやればいいのです。
教育の現場であれば、文科省や教育委員会がどうのではなく、自分の学校のことを考え、
校長、教頭以下教職員全員で最適と思うことをやるのです。大企業であれば、
本社の意向を忖度せず、その地域の社員全員で、目の前の顧客のことを考え、
最適なことをやればいいのです。

法律違反はだめですが、決められていないことはどんどんやってしまうのです。
“Gray is black”ではありません。“Gray is white”です。

こうした動きは「点」にすぎません。それが「線」となり「面」になります。
この「点」から「面」の展開を進めること。それが政治家であり、行政、本社の仕事です。
はたまた本社スタッフです。一流の政治家、行政・本社スタッフはトレンドを読み、
そのトレンドに拍車をかけて一気に変える力があります。

政治家、行政、本社の中には自ら改革を推進しようとする人がいます。ただし、
その本来のお役目ゆえ、想いはあっても動けなくなります。現職のみなさんには
現場の“Gray is white”から生まれてくる新しい試みの支援をしていただきたいのです。
“Gray is black”的発言をしたり、“上がやるから、指示を待て”みたいな態度は
採らないでいただきたい。そう切に願います。

かつて私も「提言書」系のことで世の中を変えたいと思っていた時があります。
「提言書」では変わりません。現場で「点」をつくること。これが本当の意味での
改革の狼煙となります。これからも、その支援行動を続けて行きたいと思っています。

「点」の活動を長きにわたりしている人がいます。ダイアローグ・イン・ザ・ダーク
(視覚障がい者、聴覚障がい者たちがアテンドする体験プログラムを提供している団体)
代表の志村真介さんです。素晴らしい活動です。私もこれまでダイアローグ・インザ・
ダークをチームビルディングや経営者の気づきのために何度も活用させていただきました。

このダイアローグ・イン・ザ・ダークが新たなチャレンジのためにクラウドファンディングを
しています。そのためのチャリティコンサートがあります。彼の「点」を「線」につなげたいです。
ぜひ、お力をお貸しください。


https://dialogue-concert2019.peatix.com/


おまけー1:札幌で2日間、合計600名の方を対象に講演してきました。それなりのホールで
それなりの楽屋です。ふと見るとコンセントに「電源使用は有料」というシールが貼ってあります。
(あとで請求されるのかもしれない・・・)

おまけー2:某ミッドタウンで天心と上海焼きそばのランチ。アツアツでなかなか美味しい。
隣のテーブルには20代とおぼしき女子2名。

“やば、財布に金入れるの忘れた・・・”
“やばっ、あたしもだ・・・” (長い沈黙)

近未来が見えたので、小籠包を飲み込み口の中が焼けました。

 

 

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